強いのは、一言でパッとイメージが広がる言葉
—阿部さんは昨年も中高生部門の審査員を務めていらっしゃいます。実際に中高生の考えたコピーをご覧になっていかがでしたか?
阿部:僕も長いこと「宣伝会議賞」に応募していたので、応募されたコピーを見るとちょっと特別な気持ちになりますね。彼らのコピーを見て思うのは、きっとこの年代にしか言葉にできない気持ちや思いがここには込められているんだろうな、ということ。今の彼らにしか見えないものが絶対にあるんですよね。審査をすることで、10代の若い気持ちとぶつかる感覚があるので、毎年とても新鮮に感じています。
—内田さんは現役の高校生として今年初めて審査に加わっていただきますが、最初に聞いた時はいかがでしたか?
内田:審査員に決まった時にいくつか受賞作を見せていただいたんですが、やっぱり中高生ならではの「あるある!」な言葉が多かったです。私自身はコピーを書いたことがないので、同世代の視点から審査ができるといいな、と思いました。
—お二人は普段、コピーをどう捉えていますか。
内田:街中で広告を見て実際に商品を買うことは多いですし、広告を見た時のインパクトってすごく重要だと思うんです。私は作詞も行うのですが、広告と同じように言葉が耳に残る曲にはいい作品が多いと思っています。そういった部分は歌詞とコピーは似ている感じがしますね。
阿部:僕はコピーを「言葉を企画すること」だと考えています。人の中に残る言葉はきっとコピーでも歌詞でも同じだと思うんです。例えば内田さんの楽曲「青の季節」中に「線香花火が落ちた時に 隣に君はいない」という歌詞がありますが、ものすごく情景が目に浮かぶ。コピーでも歌詞でも、一言でパッとイメージが広がるような言葉は強いんです。
—今回の中高生部門の課題の中で興味をひかれるものはありましたか?
内田:大修館書店さんの「紙の辞書を使いたくなるアイデア」が気になりました。私たちの世代は中学生の頃から電子辞書を使っています。だから紙の辞書を使いたくなる言葉ってどんなものがあるんだろう?と。なので、どんなアイデアが出てくるのか楽しみですね。
阿部:個人的に取り組んでみたいのはエイベックスさんの「ダンスや歌をやりたくなるキャッチフレーズ」ですね。僕は学生時代にアメリカンフットボールをずっとやっていて、ダンスや歌とは遠い所にいました。当時の自分にどんな言葉を投げかけるとやりたくなるのだろう?と考えてみたくなりますね。
コピーづくりで大事なのは、あんなことも、こんなことも、とたくさんのイメージを重ねていくことです。思い出すことによって思いつく。それこそがひらめきだと思います。そう考えると、いろんな課題がいろんな自分を思い出させてくれそうですよね。
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