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まもなく募集が締切に!「宣伝会議賞」応募の先輩に聞く、コピーのつくり方

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あえて、難しそうな課題にチャレンジする

横澤:僕はCMプランナーになりたくて広告会社に入ったのですが、広告会社経由以外でコピーライターになりたい人はどうやったらなれるんですか? 制作会社に入るんですか?

虎尾:そうですね。そういう会社に入って、先輩に教わっていくのが良いと思います。ただ、制作会社に入るためには、「宣伝会議賞」のような公募賞で受賞をしていると有利だと思います。

横澤:そうですよね。それに、「宣伝会議賞」は一次選考通過やファイナリストに残るだけでも自信につながります。自分の名刺代わりになる作品集をつくっていく感覚で応募を続けると良いと思います。

虎尾:自分が応募していた頃を思い返すと、コピーの難しさを知るのにとても良い機会になりました。「コピーライターになりたい」とか「コピーって面白そうだな」と思うだけでなく、実際にコピーをつくってみることで、座学で味わえない「産みの苦しみ」を味わうことができます。横澤さんは、どのような課題に取り組むのが良いと思いますか?

横澤:自分も知っているような商品の課題というのは取り組みやすいですが、他の人も同じように思っていて、応募作品が集まります。みんなが応募しなさそうな難しそうな課題にチャレンジすると、数が少ないので目立ち、スコンと当たることがありますよね。

虎尾:確かに。ただ、考えるネタが自分の中にある課題に取り組むのは、とっかかりとして大事なことかもしれません。そこからどんどん掘り下げていくというか。

横澤:そうですね。全部メジャーなものを選ぶのでなく、メジャーなものとマイナーなものとバランスをとったほうが良いかもしれないですね。

虎尾:応募するコピーを書く時、どれくらいの期間、どのように考えていましたか?

横澤:最終日のギリギリまで考えていましたね。学生の時は別として、仕事をしながらだと「明日やろう」と後回しにしてしまうことがあるので、例えば「朝起きて30分」とか、考える時間を決めたほうが良いと思います。決めてやらないとダラダラしてしまうので。

虎尾:朝、取り組むのは良いですね。きっと、「今日はここまで」って30分考えて終わったとしても、通勤の時とかその後も考えていますよね。何かの拍子に思いつくこともありますし。

ひとつの課題を考えていて、行き詰まった時はどうしたほうが良いと思いますか? その課題が「書けた」と思うまでやるべきでしょうか?私は、いくつかの課題を同時に考えていると、こっちの課題を考えているときに違う課題を思いつくことがあります。

横澤:そうですね、他の課題に取り組んだほうが良いと思います。そして、自分で「書けた」と思える時点でまだまだ甘いように思います。「宣伝会議賞」に応募している頃は、どんなコピーが良いかの基準ができていないんです。だとしたら、自分が「書けた」と思えるまでというより、何本もコピーを書く。この課題に20本書けたら次に移る、というほうが良いと思います。もしくは、プロでなくとも親兄弟や友達など他人のフィルターを通すのも効果的ですよね。結局、コピーはプロでなく素人が見て触れてどう思うかということなので。

虎尾:そうなんですよね。実際にプロとして仕事をしていても、自分の自信作とは違うものがクライアントから選ばれることもありますよね。横澤さんは過去に審査員を務めていたわけですが、横澤さんならどんなコピーを選びますか?

横澤:一次審査だけで言うと、やんちゃなコピーのほうが良いです。ひとつの課題に3千~多いものでは5千くらい応募が来る中で、それっぽく言えているものは多い。たくさんの作品を見ているので、審査員の目にとまりません。それより、「なんでこれなの?」と引っ掛かるほうが良いですね。

例えば「この水のおいしさを伝えてください」という課題でも、おいしさにこだわらず、「この水」という商品だけで考えたほうが、いろいろなコピーに飛ぶことができる。“正しい”より“変”なコピーのほうが一次審査は通りやすいです。ただ、変なコピーだと賞は取れませんけど(笑)。人と違う切り口のものが通りやすいという意味です。先ほどの例で言うと、「水」と言えば、「喉が渇いた」という切り口で6割、「○○の山で採れた」が2割。つまり、みんな一緒になってしまうのです。でも、それを利用して、同じ課題を考えている仲間を見つけて見せ合ってみるのも良いかもしれません。

「宣伝会議賞」は応募したら終わりではない

虎尾:応募期限も迫ってきていますが、「宣伝会議賞」を応募した後はどのように活用されていましたか?

横澤:自分が応募した作品と同じ課題で賞を取った作品を見て、比べるようにしていました。ただ、単に受賞作品を眺めていても勉強にはならないですが、自分がトライしてダメだった課題の受賞作品を見ると、自分が思い浮かばなかった視点やレトリックがわかって勉強になります。そうすることで、人との差や自分の位置も知れましたね。それで、1年後に比べた時に成長を感じられてモチベーションも高まりました。せっかく応募したなら、応募して終わりじゃなくて応募後も活用してほしいです。

横澤 宏一郎 (よこざわ こういちろう)氏
BORDER inc. クリエイティブディレクター/CMプランナー

早稲田大学政経学部卒業後、博報堂入社。プロモーション局を経て、クリエイティブ局へ。8年後クリエイティブディレクター昇格。その後、株式会社タンバリン(博報堂DYグループ)設立に参画。2016年6月博報堂退社。BORDER inc.を設立。2008年クリエイター・オブ・ザ・イヤー審査委員特別賞、TCC賞、ACC賞他多数受賞。主な仕事に、日野自動車「ヒノノニトン」、リクルート「SUUMO」「リクナビNEXT/大泉洋」、PS4「北斗が如く/山田孝之」など。

 

虎尾 弘之 (とらお ひろゆき)氏
真空ラボ コピーライター/プランナー

1975年生まれ。福井県坂井市出身。1998年シュガーポット入社。2000年SIGEKIアドプランナーズ入社。2005年虎尾弘之広告事務所設立。2007年真空ラボ設立に参画。今に至る。北陸コピーライターズクラブ会員。

 


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