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マーケティングを成功させる デル流3つの壁の壊し方

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マーケターに求められるのは視野の広さ

−田尻さんは自身のチームの人材育成において、どのようなことを重視し、取り組みを考えていますか。

田尻:いつも話をしているのは「プロフェッショナルを目指して欲しい」ということです。これは人事採用でも同じです。プロフェッショナルになりたい、そうなるポテンシャルを感じる人という視点で評価しています。

プロフェッショナルとは何か、という問いにはいくつもの答えがあると思います。何か同じことを続けても、常に高い精度で結果をだす人がプロ、というのはひとつの回答です。そこまでいかなくても、仕事をする上で、会社や上司に与えられるのではなく、自らクライアントに対して何ができるのかを考え仕事をつくる、それができる人はどんな役割、会社でも活躍できるでしょう。基本的なことだと思いますが、意外にできないものです。

マーケティングの仕事は投資効率を上げることや、売上を伸ばすことだけではありません。市場や消費者に向き合い、ビジネスの成長の兆しを見つけることも大切です。目先の数字も大事ですが、視野を広く持ち、未来を見ることを意識しなければならない。

視野を広げるために、私のチームでは他社のマーケティングの成功事例を集め、発表する取り組みをしています。これによって一人ひとりの情報感度が高めることができると考えています。またその成功理由や、自分の仕事にどうすれば生かせるのか応用方法を考えるようにもなります。

仕事をしているとどうしても一方的な視点からしか物事を見なくなりがちですが、違う角度から見直すことができるのも大事な資質です。この資質を養うことは難しいので、成功事例をもとに、自分がその企業のマーケターなら、あるいは消費者なら、と視点を変えて考えることが訓練になると考えています。まぁ、あとは冗談を言ったりするなど、ユーモアを忘れないことも、案外と大事だったりします。私は苦手ですが(笑)。

デルが進める3つの改革

−近年、マーケティング担当者の人材確保は、多くの企業で課題となっています。より優秀な人材を集めるために、田尻さんたちが意識していることは何でしょう。

田尻:デルは、この数年間でコンシューマー向けの市場でシェアを伸ばしてきました。かつては一桁台だったシェアは、最大で13%になり、以前の3倍近くにまで成長しています。これに伴い、マーケティング活動も拡大し、人材確保の必要性は日々感じています。

現状、大きく3つの壁があると考えています。ひとつ目は「部門のブランド認知の壁」です。デルという企業は「パソコンの会社」としては知られていますが、マーケティングでの知名度はそれほどではありません。マーケターでありながら、いざ自分たちの仕事についてはマーケティングできていなかったのです。

そこで、まずは、デルのマーケティングについて知ってもらうことを進めています。私たちは大きな広告予算を投資しています。その予算規模を背景に新たなアドテクノロジーへのチャレンジも可能ですし、マーケターとして成長する機会があります。デルのマーケティング部門がどのような存在で、どんな機会があるのかを知ってもらうことに注力しています。

2つ目は、「“理想の人材”の壁」です。過去、理想的な人材を求めるあまり採用が進まず、なかなか組織が強化できないということがままありました。そこで、大きく採用基準を見直しました。マーケティング部門の拡大により、求める能力も多様化しています。マーケティングに対する知識や経験は重要ですが、もうひとつの視点として、求める役割に応じて必要となる能力を明らかにして、それに応える資質があれば採用する形に変えています。

例えば、キャンペーンを企画する際には、ゼロから企画を発想する能力や、実行までのフェーズを構造的にとらえて、運営する力も必要です。あるいは周囲を巻き込んで人を動かしていく力も求められます。そうした役割に適した能力を持っている人は積極的に採用しています。すでに、この考え方に基づいて、社内の他部署からの登用を行い成功している例もあります。

最後が「“文化”の壁」です。社外や他部署から異動してくると、どうしても考え方が違い馴染むのに時間がかかることがあります。また、入社検討段階で、その違いを懸念する方もいます。そこで、いくつかの工夫をしています。例えば、公正な評価方法を徹底しています。今いるチームのメンバー、新しく入ってくるメンバーだけではなく、別のチーム、あるいはマーケティング以外の部門と、いかに軋轢を生まずにエンゲージメントを構築していくのか。そこで、チームや部署内だけではなく、それらを横断した形で評価をする仕組みを導入しています。

評価担当者はある程度、自分で選ぶこともできるようになっているので、常に協調性を持って業務にあたることができるようになると考えています。社内では「Feedback is Gift」と言って、評価をもらうことは良いこと、成長の機会だというカルチャーづくりを進めています。

また、その他の取り組みとしては、もっと気軽に打ち解けることができるように、オフサイトミーティングを行い業務から離れて、壮大なテーマに対してみんなでワイワイと討議をしたり、チームビルディングをしたりといった活動もしたりしています。

これら3つの変革を通して、より良い人材を確保・維持し、組織を強化することを目指しています。

−これからのマーケティング部門のあり方、マーケターの存在意義はどうなっていくと考えていますか。

田尻:AIをはじめとするデジタル技術は日々進化していますし、それにともない業務を遂行するという部分については、これからも変化していくと思います。ただ消費者や市場のことを考え、世の中を面白く、そして社会をより住みやすくするためにできることは何か。それを考えることが本質的なマーケターの役割だとするなら、その意義は時代によって変わることはなく、普遍的だと思います。

どうすれば世の中が良くなるのか、生活が良くなるのか。そこにおける課題を見つけ、その課題に対して、現状を観察し、使える技術やサービスを組み合わせて新しいものを生み出す、そのプロセスがマーケティングであり、その実行のところにAIやテクノロジーが作用するととらえています。私もひとりのマーケターとして今後もその役割を果たしていくことができればと考えています。



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デル株式会社
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Email:Hitomi_Tosaka@Dell.com

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