「気づいてもらう」ために、議論をまき起こす 【芸人・五明拓弥 × マーケター・井上大輔 対談】後編

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“表現欲”を満たす方法が広がる今、クリエイティブをどう発揮する?

井上:誰にでも何かを表現したいという“表現欲”ってあるじゃないですか。その深さは人によって違っていて、どうしてもそれしかやりたくない、それをやらなければ死んでしまうという人がアーティストとか芸人になるのだと思うんです。

自己表現をしたくて、かつ人の課題を解決したい、という感じの人が、たぶん昔はクリエイターとして広告業界に入ったんだと思うんです。クリエイティブな仕事の選択肢は結構少なかった。でも、インターネットが出てきてからは、仕事はクリエイティブと関係のない仕事を選んで、表現欲はSNSで満たす人が増えていますよね。

五明:僕の学生時代は、自分が世間の表に出て何かを表現するなんて考えられませんでした。

井上:そうなんです。でも今はそれができる。だから面白いし、逆に怖いところもあると思うんです。僕がいつも思うのが、SNSによって表現欲が変に満たされてしまうことってないのかな、と。たとえば、何か思いついたことをツイートしたら、それで満足してしまうんですよね。僕は雑誌に記事を書いたりもするのですが、ツイートしたことを深堀りしていれば、本当は記事のネタになったかもしれないのに、と思ったりします。

五明:あー!わかります!トークで話したいけど、先にツイートしてしまって話せなくて、ツイートしなければよかったと思うことがあります。

井上:そこが難しいところで、ツイートで表現欲が満たされてしまって、ちゃんとした記事にして表に出そうという表現欲が消費されてしまう。そういう懸念があります。

五明:まるで病気みたいに、ツイートしないと気持ち悪いんですよ。

井上:本でもネタでも音楽でも、何かを生み出すのは辛く苦しい作業じゃないですか。それでもがんばるのは、それを世の中に出したいというモチベーションがあるからだと思うのですが、ツイートなりインスタなりで表現欲が満たされてしまうと、そんなモチベーションがキープできなくなる。

TikTokのように、インフルエンサーではない人でも15秒の動画をあげるとバーンと拡散できるようなものが出てくると、自己承認欲も表現欲も全部満たされますからね。これから先、わざわざクリエイターや芸人になろうと思う人は少なくなるでしょうね。

五明:ユーチューブをやる芸人も増えていますからね。芸人はこれでなければダメという縛りは、もうなくなりました。

井上:そうですね。五明さんも、ぜひアンケート調査をしてコントを書いてみてくださいよ。相当フツフツするような予感がしますから。その時は調査設計や分析を手伝わせてくださいね。

五明:本当ですか! そのときはぜひよろしくお願いします!

 

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たとえる力で人生は変わる』 井上大輔著
 
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『たとえる力で人生は変わる』対談バックナンバー
共感のヒント~「言語化」の先にある「たとえ」 【りょかち×井上大輔】 前編
共感のヒント~抽象化し相手を理解したうえで表現する、伝え方の新しいフレームワーク【りょかち×井上大輔】 後編
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