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香取慎吾が描いた表紙画で話題 女性版『週刊文春』立ち上げの裏側

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文藝春秋『週刊文春WOMAN』

2016年のパイロット版が10万部を完売した『週刊文春WOMAN』が、2018年末に定期刊行化。表紙画を「新しい地図」プロジェクトの香取慎吾が手がけたことでも話題となった。同誌の井崎彩編集長に、女性向けの週刊文春を企画した意図や今後の展望を聞いた。

文藝春秋『週刊文春WOMAN』編集長 井﨑 彩(いざき・あや)氏
1975年東京都生まれ。1999年に早稲田大学政治経済学部を卒業し、文藝春秋入社。以来、『文藝春秋』『週刊文春』『CREA』と雑誌編集ひとすじ。2014年、子持ちの女性として初めて『週刊文春』特集班デスクに。2016年に『週刊文春WOMAN』のパイロット版を発案し、編集。『CREA』副編集長を経て現職。

女性誌のノウハウを文春へ

—『週刊文春WOMAN』は、2016年の元日にセブン‐イレブン限定でパイロット版が発売され、10万部を完売しました。当初はどのような狙いがあったのでしょうか。

私は『文藝春秋』『週刊文春』といういわゆるジャーナリズム誌と女性誌の『CREA』を行ったり来たりしてきた珍しいキャリアでした。とはいえ『CREA』に骨を埋める覚悟をしていた39歳の時に、『週刊文春』特集班デスクの辞令が下ったんです。まさに青天の霹靂。

2014年から16年まで2年間在籍していましたが、当時はジャーナリズム一筋でやってきた優秀なデスク、記者に囲まれて「私がここにいる意味ってなんだろう」と日々悶々としていましたね。ちょうど“女性活用”という言葉が世に出てきたころだったんですが、さめた目で見てました(笑)。そんな時に社内で増刊プランの募集があり、企画書を提出したことが『週刊文春WOMAN』の始まりです。

文春は男性週刊誌と思われがちですが、実は読者の半分近くは女性です。世の多くの女性誌よりも圧倒的多数の女性読者がいる。ただ、健康やお金など実用記事の主たるモデルケースはやっぱり男性になりがちです。ならば、文春テイストを活かしつつ、女性の視点、興味に即した雑誌をつくったら読者がいるのではないか。女性誌のノウハウも知っている私だからつくれる雑誌があるのではないかと思いました。

節約主婦、キャリア女性……女性誌は細かくターゲットが分かれすぎていて、逆にどれにもピンとこない女性が増えています。『週刊文春WOMAN』ではあえて読者ターゲットは定めず、「女性の誰もが気になるけれど、メディアで深掘りできていないこと」を取り上げていこうと思っています。

—大きな反響を受け、3年後の2018年末に定期刊行(正月・GW・お盆の年3回)に至りましたね。今の時代に雑誌を創刊するというのは珍しいことです。

『CREA』に戻って副編集長を務めていたのですが、2018年初夏に「週刊文春WOMANの定期刊行化を目指してもいい」という話が上層部で浮上したようです。再び青天の霹靂だったんですが、そこからは半ば強引に「もう1回やるからには定期刊行物に」「年3回出します」と捻じ込んでいきました(笑)。

編集部は何人ですか?とよく尋ねられるんですが、専従は1人。社内ベンチャーのようなものです。社内で仲の良い人に「手伝って」と泣きついたり、時々上司に呪いのようなメールを送ったりしてました(笑)。

2018年12月に文春ムックとして発売した『週刊文春WOMAN』(2019年正月号)。

次ページ 「「新しい地図」を描く場所として提案」へ続く