答えのない「問い」は、創造的コミュニケーションを生む触媒【安斎勇樹×前田考歩 後編】

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ワークショップでプロジェクトを「自分事」にできる

前田:実は、私は6年ぐらい前に初めてワークショップの存在を知り、安斎先生のワークショップに参加しました。その時に問いを考えることが一切できず、つい答えを出してしまって。なんて自分は無能なんだと思うほどできなくて。もう、プロジェクトをやるうえで終わっているなと思ったほどでした。

でも、学校教育で、白黒つけさせられたり、パッと答えることを求められ続けてきた人間にとって、問いというものは常に与えられるものだったんです。プロジェクトも、ある日突然社長に「君、明日からプロマネね」と言われて、「ああ…」という感じで始まります。だから自分事として考えられないし、問いも作れないんだと思います。

自分発案のプロジェクトでなかったとしても、自分事として捉えられるような問いができれば、もっと良いプロジェクトにしていけるのではないか。言われたことをただやっているだけのプロジェクトにはならないのではないか。そんな風に思えました。

安斎:自分事であるということは、カギだと思います。

最近、クライアントワークで商品開発のワークショップをする時にすごく感じるのは、クライアントチームがクリエーターとしてのモチベーションを失っているということです。新商品を作りたくて、この仕事についたんじゃないんですかと聞きたくなるくらい、「次は何を作ればいいんですか?」という感じで指示を待っているんです。

僕はそういうケースとワークショップは、すごく相性がいいと思っています。僕らがコンサルや代理店のように、「これを作ればヒット間違いなしです」と提案したら、それはたぶん魂のこもったアウトプットにはならないと思うんです。

これまでの経験では、多少遠回りでも、そもそもどんな価値を世の中に届けたくて商品を作っているのか、ワークショップで3回とか4回とか主体的に議論していくなかで、メンバーのモチベーションが上がり、前のめりになってきて、魂のこもったアウトプットが生れてきました。ですから、自分ごとにするということは非常に重要です。もし、最初は自分事になっていなくても、ワークショップによって自分事として捉えるようになる可能性は十分あります。

前田:いやあ、これは「新規事業で未知性が多いプロジェクトの初期段階にはワークショップを入れろ説」が有力ということですね。これは間違いない(笑)

最後にひとつだけお聞きします。ワークショップを可視化する方法はありますか。

安斎:いくつかあります。一番よく使われるのは、グラフィックレコーディングです。僕らもワークショップをする時は必ずグラフィックレコーダーに入ってもらって、議論をイラストで構造化したり、可視化したりしながら進めています。

前田:たしかにグラフィックレコードはわかりやすいですよね。

我々は、プロジェクトという目には見えないものを「プ譜」というフォーマットに落とし込んで可視化しています。先日、プロジェクトに関するワークショップで議論のプロセスをプ譜で可視化できたので、ワークショップでも使えるかなとちょっと思ったんです。もしご興味を持っていただけたら、記録係をやらせていただきますので、ぜひお声かけください。

安斎:ありがとうございます(笑)

安斎 勇樹氏
株式会社ミミクリデザイン
代表取締役

 

前田 考歩氏
株式会社フレイ・スリー
プロデューサー

 


書籍案内
予定通り進まないプロジェクトの進め方
ルーティンではない、すなわち「予定通り進まない」すべての仕事は、プロジェクトであると言うことができます。本書では、それを「管理」するのではなく「編集」するスキルを身につけることによって、成功に導く方法を解き明かします。

 

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