広報スペシャリストが語る「リリースが万能ツールである理由」(井上岳久)

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思考や情報の整理に最適!

リリースはA4サイズで、基本はたった1枚、多くても3枚程度で、シンプルに完結させます。それにフォーマットが確立されているので、そこに当てはめるだけで文書を完成させることができます。だから実に短時間で整った文書を作れるわけです。慣れてくれば1~2時間で書き上げることができますし、熟練した人なら15分程度で作れる人もいるでしょう。つまりリリース法なら、どんな文書も15分から1、2時間程度でまとめることが可能なのです。

文書作成に時間がかかる最大の理由は、「書く内容がまとまっていない」ことに尽きると思います。言いたいことがまとまる前に書き出して、ああでもない、こうでもないと書き直すうちに、迷宮に入っていくのです。

けれどリリースなら、考えがまだ整理できていない段階でも、フォーマットに従って書き進むことができます。タイトルに入れるべき最も伝えたい内容や、メディアに響くキャッチーな内容は何か。パッと読み手の目を引くような数字的要素は何か。そうしたことをピックアップするうちに、あなたの思考も整理できるというわけです。

進行中の案件に関わっている人間の頭の中だけにあって、言葉などで表されていないものを「暗黙知」といいます。この暗黙知に5W1Hを与え、情報を明文化して「形式知」にする働きもリリースにはあります。

リリースに入れるべき5つの要素

実際にリリースを作成するポイントを紹介します。まずは、リリースの基本書式について詳しく見ていきましょう。私がリリースの2大原則と考えるのは、「A4サイズ1枚」「1リリース1テーマ」です。メディア関係者は多忙な人が多いので、あまり枚数が多いリリースが届くと、それだけで読む気が失せてしまいます。1枚に収めきれない場合は多少オーバーするのはやむを得ませんが、それでも2~3枚までが限度です。

また、ひとつのリリースに2つ以上の訴求事項を入れると焦点がぼやけてしまいます。何をアピールしたいのかが伝わらなくなっては元も子もないので、あれもこれもと欲張らずに、1回のリリースで1テーマという原則を守るようにしましょう。

次に掲載する内容ですが、リリースは5つの構成要素から成り立っています。

①レターヘッド
②タイトル
③リード
④本文
⑤連絡先

①の「レターヘッド」は、企業や商品をデザイン化したロゴなどを入れた、リリースの顔となる部分です。きちんと形を決め、毎回定型化し、受け取った相手が「あ、あの会社だな」と見てすぐ分かるようにしましょう。

②の「タイトル」はリリースの命ともいうべきもので、メディアに興味を持ってもらえるかどうかはこのタイトルにかかっています。読み手に最も刺さるコピーの力が重要であるのと、文字を大きくしたり太くしたりしてデザインとしても目立たせることが大切です。

③の「リード」は、リリースで伝えたいことを2~3行で要約します。忙しい人は本文まで読まず、リードだけで内容を把握しようとするので、簡潔に中身を伝える文章が必要です。

④の「本文」もスペースが限られているので、ポイントのみを書きましょう。箇条書きに写真やグラフなどのビジュアルを付けるくらいの簡潔さが望ましいです。もしそれ以上に付け加えたい内容があれば、2~3枚目に添付資料として加えます。

⑤の「連絡先」は、リリースを読んで関心を持ってくれたメディアが、発信元にアクセスするための基本情報です。企業名、部署名、担当者名、TEL、ファクス、企業所在地、自社サイトのURLは必須です。それにプラスして、担当者のメールアドレスや携帯電話の番号も入れると、「この広報はいつでも対応してくれそう」と、信頼感を与えるでしょう。

次ページ 「リリースの質を上げる5カ条」へ続く

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