広報スペシャリストが語る「リリースが万能ツールである理由」(井上岳久)

リリースの質を上げる5カ条

リリースを書く際に、私が大切だと考える5つのポイントを紹介します。私は多くの企業からリリースの添削指導やアドバイスを依頼されますが、その際に指摘する率が高いのは次の3つです。

a.タイトルのインパクトがない
b.レイアウトが上手でない
c.何が書いてあるか分からない

そして、これらを解決するのが以下の5つのポイントなのです。

ポイント①は「タイトルが命!」。タイトルはリリースの導入口で、中身を読んでもらえるかもらえないかの分岐点ですから、全力を注いでください。私がよく言うのは「最低3案は考えろ」ということです。ひとつで満足せずに、いくつか案を考えて比較するうちに、本当に伝えたい大事なことが絞り込まれていくのです。

ポイント②は「全体の構成を考えてレイアウトする」。盛り込みたい内容を配置したら、一度少し離れて、客観的にリリース全体を見ましょう。ぎっしり要素を詰め込みすぎず、適度な余白を作るのも(もったいないと思うかもしれませんが)大事なことです。文字が詰め込まれすぎていたり、切れ目が分からなかったりと、どこが一番伝えたい部分なのかが分からないレイアウト下手なリリースも多いです。上からレターヘッド、タイトル、リード、本文、連絡先のメリハリがきっちりとついているのがいいリリースの条件です。

ポイント③は「ビジュアルを入れる」。商品の写真やグラフを入れると文字だけに比べて目が休まりますし、百聞は一見に如かずというのは本当で、読み手の理解がぐっと深まります。cは、単純に文章が下手という問題ではなく、必要な情報が抜けていたり難解な用語を使っていたりする不親切なリリースのことです。あいまいな情報をもらっても記事は書けませんから、読み手に伝わる文章にすることが重要です。

ポイント④は「5W1Hをきちんと入れる」。中学校の英語の授業で習った通り、だれが、いつ、どこで、なぜ、どんなふうに、何をしたかを、基本的すぎると思わずに意識して書くことが、「伝わる文章」への近道です。

ポイント⑤は「専門用語は避ける」。リリースを受け取るメディアの人は、あなたの業界の人ではありません。そのことを肝に銘じ、まったく業界に関して無知な人が読んでも通じる言葉で書くことが大事です。やむを得ず専門用語を使う場合は注釈をつけるようにしましょう。

以上①から⑤まで、たった5つのポイントを心がけるだけで、あなたのリリースは見違えるほど向上していくはずです。

いかがでしたでしょうか。ここで紹介したのは、本当に基本的な部分です。本書では、さらに会社全体でリリースをビジネス文書として展開する時の各部署の役割や運用体制なども紹介しています。リリースのテクニックについても、さらに上を目指すためのテクニックが、実際に使われた企業のリリースを元に惜しみなく紹介されています。7月2日のトークショーでは、本書に書ききれなかった内容も大公開の予定です。ぜひ皆さまご参加ください。

【イベント概要】

早く帰れて、クオリティも高い!すべての部署が幸せになる最強リリースの秘密

日時:2019年7月2日(火)19時~21時
場所:代官山 蔦屋書店 1号館 2階 イベントスペース
募集人員:70名
参加条件:代官山 蔦屋書店にて、下記の対象商品をご購入いただいた方にご参加いただけます。
・書籍付き(『最強のビジネス文書 ニュースリリースの書き方・使い方』1,944円/税込)イベント参加券:2,700円/税込
・イベント参加券:1,000円/税込

【登壇者】
井上岳久(いのうえ・たかひさ)
井上戦略PRコンサルティング事務所 代表
戦略広報プランナー

元横濱カレーミュージアム・プロデューサー。横濱カレーミュージアムの立ち上げから携わり、2002年11月にプロデューサーに就任。入館者数減少に悩む同館を復活に導く。PRを主体としたマーケティング戦略を用いてV字カーブで復活を果たしフードテーマ パークNo.1の座に成長させた。2006年11月に退任。現在は年間100以上ものイベントを実施し1週間に2回以上のリリースを配信するなどの様々な独自のPR戦略を展開する。また自らテレビ、新聞、雑誌にカレー界の第1人者として1年に100以上の媒体に出演した。著書に、『実践! プレスリリース道場 完全版』(宣伝会議)などがある。慶應義塾大学、法政大学卒。中小企業診断士。

 

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