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【ヤングカンヌ】PR部門日本代表チームが世界一に!提出した全スライドを公開

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必要なのはAwarenessじゃない、Behavior Changeだ。

さて、そろそろ課題と企画案についてレポートします。

クライアントは、環境保全団体のWWF。

ブリーフは、食べ物の生産過程で森林破壊が起きていることをミレニアルズに伝えるPRキャンペーンを作ること。

例えば家畜は、大量の穀物を食べて育ちますが、その穀物を作るために森林が伐採されているという状況にあります。お肉を作ると森が消える、というわけです。

食事と森林破壊との距離が遠いので、そこを繋げるのが難しそうだなと思いました。

慣れない海外の環境での作業はストレスだと先に述べましたが、逆に頭が冴えるということもあるんです。

ブリーフを聞いた直後、谷脇がこんなことを言いました。

谷脇「世界一有名な夕食ってことで、ノーベル賞の晩餐会をハックするってどうかな?」

アネ「最高。(PR映えがヤバい)」

開始直後に最高な切り口を発見してくれたので、もう食いっぱぐれることは無いなと確信しました。

そこからは様々な方向性のアイデアを探り、3周ほどしてやはりノーベルディナーを使った企画に決定しました。

ここからは、提案について順を追ってご説明していきます。(今回はサマリースライドを含めて10枚の企画書を出すというルールでした)

まず前提として、食べ物(特に肉)の生産が森林破壊を引き起こしているということを、ミレニアルズは知りません。だから彼らの認知向上が必要です。しかし、それだけでは問題の本質的な解決にはなりそうもありません。

僕たちが注目したのは、Industry Leaders、つまり各界のリーダーたちです。政治家や飲食系企業のトップたちは、この問題を把握していながらも、真剣に向き合っていません。なぜなら、向き合うことを迫られていないから。

私たちは、彼らに問題と真剣に向き合うことを迫り、意見を表明させ、さらに具体的行動まで起こさせることで、本気で問題解決をしようと考えました。PRのピラミッドでよく語られる「Awareness⇒Perception⇒Behavior」の三段階の変化を、一度に起こさせようという戦略です。

では、どんな問題解決策があるのでしょうか?この問題に真剣に向き合うと、2つの選択肢に直面します。

1つは、肉を食べ続けること。この場合は、生産方法を効率化したり、食べる量を減らしたりしなければなりません。もう1つの選択肢は、代替肉(大豆や藻、昆虫など)を食べるようにすること。エコですが、肉を食べたい人にとっては抵抗がありますよね。

では、この選択肢を先程述べた「Industry Leaders」に突きつけてみましょう。

#TheSustainableChoice

私たちが目をつけたのは、「ノーベル賞の晩餐会」。政治家や大企業のトップはもちろんのこと、王族なども訪れる、まさに世界で最も有名な夕食会です。メニューの内容は毎年ニュースになり、世界中で報道されています。このイベントをハックして、世界のリーダーたちがサステナブルな選択をできるかどうか、その場で問いただすという企画です。

具体的には、晩餐会のメイン料理を2種類用意します。

サステナブルな昆虫料理(代替肉)か、森林破壊を引き起こしているアンサステナブルな肉料理か。

昆虫料理を選ぶ場合はお咎め無しですが、肉料理を選ぶ場合は、「今後この問題に取り組んでいく」という書類にサインしてもらいます。

どんなメニューが出されたのか、誰がどちらを選んだのか、彼らがどんなアクションを取り組んでいくのか、全てがニュースとなって生活者がこの問題について理解を深めていきます。

ノーベル賞の晩餐会に出席していなかった人たちにも、どちらの選択をするかソーシャル上で問いかけていきます。この問題に対する意見や具体行動策を、全世界に公開された衆人環視の場で、飲食系の大企業や政治家たちに答えてもらうのです。

その後は、ノーベル賞を皮切りに、世界中の晩餐会やパーティーでも同じように展開していきます。この企画は、国境を超えて実施できるサステナブルなキャンペーンということです。

次ページ 「4年かけて手に入れた念願のGOLD。」へ続く