消費者もテクノロジーも変化しているんだから、広告も新しい常識が必要
最後、3つ目の「新時代はこれから」型は、少し啓蒙型と似ていますが、変化は主に広告ビジネスに対する取り組み方から始まるのではなく、その変化が外部、特に消費者とテクノロジーの変化から来る、といったものです。つまり「新時代はこれから」型では、今までの広告に対する常識が通用しなくなるのは、広告主との関係が変化したというような黄金時代型の感覚ではなく、もともと広告を届ける消費者やそれを取り巻くデジタルなどの環境が変化したからだと考えるわけです。
私も同じような話をセミナーなどでもしているので、自分も同じような姿勢をしているかと思います。フェルドウィック氏はそういう見方は否定しませんが、そこで語られている「新しい常識」が必ずしも「新しくない」ということを指摘しています。
たしかに以前と比べて新しいデジタル環境に変わっているし、消費者も以前とは違っているのだから、メディアや以前に存在しなかったツールに関しては確かに新しい知識が必要かもしれません。しかし広告を生み出す上での消費者の広告に対する感じ方や行動についての理解は、本質的には変わっていないところも多いということです。そして過去を啓蒙型や新しい時代型のようにただ否定するだけでは、同じように過去から学べる点をすべて捨て去ってしまうことになりかねないわけです。
私はマジソンアベニュー時代の広告の話を聞き、歴史に学ぶことは基本的に好きです。それは黄金時代が良かったからではなく、純粋に過去のストーリーが面白いということと、そこからインスピレーションや気づきを得ることが多いからです。だからこそあえてこのフェルドウィック氏の本を取り上げて皆さんに紹介したいと考えました。これから数回にわたってこの広告についての歴史について語っていきたいと思います。
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