#SXSW2019「シリコンヒルズ」企業視察レポート③:Third Ear

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宣伝会議では、世界最大のクリエイティブ・ビジネス・フェスティバル「サウス・バイ・サウスウエスト(以下、SXSW)」の開催に合わせ、2019年3月8日~17日の期間に米国テキサス州オースティンへの視察研修「Innovation Boot Camp in Texas」を実施。本視察は今期で4期目を迎える。ITビジネスの未来が語られたSXSWと、訪問した現地の企業での視察の様子をレポートする。

バイスプレジデント/エクスペリエンスマーケティングのルイス・ガイド氏、アートディレクターのジャッキー氏とカーレン氏を囲み、通訳を介して、活発な議論が行われた。

移民で多様化するマーケットに向けたコミュニケーションの手法とは

Third Earは、ラテン系に特化したマーケティング・コミュニケーションを行うクリエイティブ・エージェンシー。オースティンで最も有名な広告会社の1つであったLatinWorksが、広告業界の変化とともに市場能力の拡大を目的とし、同社の名前を今年4月、Third Earに変更した。

米国では、オースティンが位置するテキサス州をはじめとしたいくつかの州において、以前は少数であったラテン系(ヒスパニック系)アメリカ人の人口が増加している。ラテン系アメリカ人は、主に中南米からの移住者やその子孫の米国人で、米国に住みながら出身国の文化も受け継ぎ、独自のアイデンティティを持つ。そのため、従来のマーケティング・コミュニケーションでは彼らのインサイトを捉えることが難しい側面がある。

そこで活躍しているのが、ラテン系アメリカ人に向けたコミュニケーションを主戦場とする広告会社のThird Earだ。同社はこれまで、メジャーリーグ・ベースボールやスターバックス、大手スーパーマーケットチェーンのターゲットといった有名ブランドとコラボレーションしてきた。

ブランド成長のカギは多様化しつづけるマーケットへの対応

以前、ヒスパニックマーケットは小さすぎるがゆえに、全米を対象にマーケティングを考えるうえでは焦点を置くべきではないと考えられていた。しかし近年、マーケットは非常に多様化しており、ブランドの成長のためには多様性への適応が不可欠となっている。ヒスパニックマーケットの人口も増えており、かつそのマーケット内にも多様な価値観が存在するので、常に調査を続けていかなければならないとしている。

ラテン系の人口増加の要因は、移民だけでなく、移民の子どもたちの増加にもある。かつてラテン系アメリカ人はラテン系のアイデンティティを持つと考えられてきたが、同社による研究の結果、ラテン系のルーツを持ちながらアメリカで生まれ育った子どもたちは、ラテン系とアメリカ人の両方のアイデンティティを同時に持つことがわかってきた。

米国のマーケターはこれをアンバイカルチャー、つまり『2つ同時の文化性』と呼んでいる。以前は言葉や民族を文化性と考えられてきましたが、今はマインドセットを文化性として捉えているという。

ラテン系アメリカ人へのアプローチの変化として、スニッカーズの事例が挙げられる。これまでラテン系アメリカ人に対するマーケティング・コミュニケーションはスペイン語で行っていたが、近年のラテン系アメリカ人は家ではスペイン語、外では英語、と2つの言語を同時に話すことから、マーケティング・コミュニケーションにおいても英語をベースにスペイン語も混ぜ、絆を深めている。

ウイスキーブランドのジャックダニエルでは、インフルエンサーとしてラテン系アメリカ人のフォロワーが多いシンガーソングライターの女性を起用した。起用するインフルエンサーの選定には、本人のパーソナリティやブランドとの相性なども考慮する必要があるが、彼女自身も彼女の音楽のファンも、ブランドとの相性が良かったという。

Third Earの信念は『Speak Human』。大切なのは、インフルエンサーとブランドが正直に話をすることで、それによりインフルエンサーやそのフォロワーとも透明性のある信頼関係を築いていくことができるという。

Third Earの社員と日本からの視察研修参加者。社屋の壁面に、当社の信念である「Speak Human」と書かれている。
2020年度の本視察研修「Innovation Boot Camp in Texas」は3月14日(土)から3月20日(金)に開催予定です。最新情報は、Webサイト、またはE-mail:info-educ@sendenkaigi.co.jpまでお問い合わせください。お申し込みは1月10日(金)締切予定です。

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