【前回】「#SXSW2019「シリコンヒルズ」企業視察レポート②:IBM Design Studio」はこちら
移民で多様化するマーケットに向けたコミュニケーションの手法とは
Third Earは、ラテン系に特化したマーケティング・コミュニケーションを行うクリエイティブ・エージェンシー。オースティンで最も有名な広告会社の1つであったLatinWorksが、広告業界の変化とともに市場能力の拡大を目的とし、同社の名前を今年4月、Third Earに変更した。
米国では、オースティンが位置するテキサス州をはじめとしたいくつかの州において、以前は少数であったラテン系(ヒスパニック系)アメリカ人の人口が増加している。ラテン系アメリカ人は、主に中南米からの移住者やその子孫の米国人で、米国に住みながら出身国の文化も受け継ぎ、独自のアイデンティティを持つ。そのため、従来のマーケティング・コミュニケーションでは彼らのインサイトを捉えることが難しい側面がある。
そこで活躍しているのが、ラテン系アメリカ人に向けたコミュニケーションを主戦場とする広告会社のThird Earだ。同社はこれまで、メジャーリーグ・ベースボールやスターバックス、大手スーパーマーケットチェーンのターゲットといった有名ブランドとコラボレーションしてきた。
ブランド成長のカギは多様化しつづけるマーケットへの対応
以前、ヒスパニックマーケットは小さすぎるがゆえに、全米を対象にマーケティングを考えるうえでは焦点を置くべきではないと考えられていた。しかし近年、マーケットは非常に多様化しており、ブランドの成長のためには多様性への適応が不可欠となっている。ヒスパニックマーケットの人口も増えており、かつそのマーケット内にも多様な価値観が存在するので、常に調査を続けていかなければならないとしている。
ラテン系の人口増加の要因は、移民だけでなく、移民の子どもたちの増加にもある。かつてラテン系アメリカ人はラテン系のアイデンティティを持つと考えられてきたが、同社による研究の結果、ラテン系のルーツを持ちながらアメリカで生まれ育った子どもたちは、ラテン系とアメリカ人の両方のアイデンティティを同時に持つことがわかってきた。
米国のマーケターはこれをアンバイカルチャー、つまり『2つ同時の文化性』と呼んでいる。以前は言葉や民族を文化性と考えられてきましたが、今はマインドセットを文化性として捉えているという。
ラテン系アメリカ人へのアプローチの変化として、スニッカーズの事例が挙げられる。これまでラテン系アメリカ人に対するマーケティング・コミュニケーションはスペイン語で行っていたが、近年のラテン系アメリカ人は家ではスペイン語、外では英語、と2つの言語を同時に話すことから、マーケティング・コミュニケーションにおいても英語をベースにスペイン語も混ぜ、絆を深めている。
ウイスキーブランドのジャックダニエルでは、インフルエンサーとしてラテン系アメリカ人のフォロワーが多いシンガーソングライターの女性を起用した。起用するインフルエンサーの選定には、本人のパーソナリティやブランドとの相性なども考慮する必要があるが、彼女自身も彼女の音楽のファンも、ブランドとの相性が良かったという。
Third Earの信念は『Speak Human』。大切なのは、インフルエンサーとブランドが正直に話をすることで、それによりインフルエンサーやそのフォロワーとも透明性のある信頼関係を築いていくことができるという。
新着CM
-
クリエイティブ
グランプリはリクルート「スタサプENGLISH」第35回「全日本DM大賞」発表
-
AD
Repro
アプリで実現するDXの最先端を知る。アプリマーケティングを語り尽くす2日間
-
クリエイティブ
「島根のふふふっ」スペシャルムービーを公開 島根県在住のバンド「ginger」を...
-
AD
広告ビジネス・メディア
若手の「面白そう」の心を教育をきっかけに養う
-
クリエイティブ
藤井聡太王位・棋聖がCM初出演! ONとOFFの姿を描く、不二家のチョコレートC...
-
販売促進
JR東がVRで物産展 空間内で購入、そのまま受け取り
-
AD
特集
CONNECTION LAB
-
人事・人物
東急不動産、DX推進部を新設
-
人事・人物
【人事】アサヒ飲料(4月1日、3月26日、18日、17日、16日)