コラム

パーソナライゼーション時代-メディア企業のマーケティング戦略

転換期を迎える、日本のメディアビジネスを考察する — ➁紙媒体・ラジオ

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パーソナライゼーション時代におけるラジオのマーケティング戦略とは?

ラジオそのものは昭和のモデル、時代遅れなどといわれて厳しい状況が続いてきたが、昨今ではIoTの波に乗り、一部、復活を遂げている。その中核をなすツールがストリーミングアプリである。

代表的なプレイヤーは「radiko(ラジコ)」や「WIZ RADIO」であろう。そもそも、これらのストリーミングアプリはラジオというデバイスに頼らずにスマホなどモバイルを仮想デバイスとしてラジオを視聴可能にするツールであるが、これがまさにモバイル全盛期の波に乗りユーザーを増やしているのだ。「radiko」を例にとると現在、そのアプリDL数は2000万を超え、月間のユニークユーザーも1000万人に達する。

また、徐々に存在感を増しつつあるスマートスピーカーとの相性も良く、Amazon Echoのスキル(アプリ)ではランキング1位に躍り出た。ただし、ラジオ“広告”という文脈となると、まだ復活ののろしを上げたといえるだけのイノベーティブな広告モデルは出現しておらず、今後「radiko」の使用方法の進化に合わせての新しいビジネスモデルの開発が待たれる。

一方、「WIZ RADIO」のほうはジャパンエフエムネットワークを活用して全国の参加ラジオ局の放送を無料で聴取できるエリアフリーサービスを展開しているが、これは位置情報をデータとして収集し、リスナーの存在場所に応じたパーソナライズ情報を提供することを視野に入れている。

「WIZ RADIO」は「ドライブ行動特化型のデジタル音声広告」というデータドリブン型のビジネスモデルを模索しており、まさにIoT時代にラジオのモビリティーとしての特性を生かした注目すべきパーソナライズド・モデルである。

ラジオ自体はもともとリスナーとの双方向コミュニケーションを熱心に心掛けたり、サテライトカーを街に繰り出して生の声を収集したりして、SNS的な動きの先駆けモデルを実施していた歴史があり、そのモビリティー・スピリットを現状の情報消費行動に照らし合わせてデジタルトランスフォーメーション化できれば根強い固定ファンをベースに活性化の波に乗ることができる可能性がある。

次ページ 「リスナーの“顧客体験”の設計の中に新しいビジネスをつくる」へ続く

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