コラム

パーソナライゼーション時代-メディア企業のマーケティング戦略

転換期を迎える、日本のメディアビジネスを考察する — ➁紙媒体・ラジオ

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リスナーの“顧客体験”の設計の中に新しいビジネスをつくる

一方、誤解を恐れずに指摘すると、番組作りの方法論はDJの会話の合間に音楽をかけるという古典的な手法から脱却しておらず、メディアの未来像を規定するキーワードである「コンテンツ」とそのほかの要素(ディストリビューションや顧客体験など)との整合性が取れていないという懸念もある。リスナーが求めるものは、デバイスやディストリビューションの変化に伴い変わってきているはずであり、コンテンツがその変化に対応すべきなのである。

例えば、「WIZ RADIO」が実施している「レコチョク」とのダイレクトリンクモデルは一つの参考事例になるだろう。これはラジオで聞いて気に入った楽曲をそのままレコチョクで買うことができるという新たなサプライチェーンモデルである。

ラジオを聴いているリスナーの文脈をタイミングよく捉えることで、新たなビジネスを生み出しているといえる。「radiko」などのヒットですそ野が再度広がっているこのチャンスを生かすためにも、リスナーの“顧客体験”といわれるものにさらにフォーカスしてコンテンツのあり様を精査すべきである。

マーケティングの世界にはCommunication Context Strategyという考え方がある。消費者が送り手のメッセージを「いつ(どのタイミング)」「どこで」受け取っているのかによって、その受容性は異なるので、これらの情報を伝えるコミュニケーションの文脈をきちんと設計しなければいけないというルールのことである。パーソナライゼーション時代にラジオ業界が、いま行うべきことは、まさにこの文脈設計であり、その文脈の中に広告を融合させていくことが求められているのではないだろうか。

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