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450年超の歴史 伝統産業の山中漆器がデジタルマーケティングを始める理由

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山中漆器連合協同組合 理事長  竹中俊介氏

海外市場の開拓にはデジタルの活用が必須だった

約450年の歴史を持つ石川県の伝統産業である山中漆器。挽物職人の木地師が加賀市の真砂地区に移住し、轆轤技術で日常雑器を製造したことが起源と言われている。その後、塗や蒔絵といった高度な技術が加わり、華やかで芸術的価値の高い工芸品としての地位を築いた。戦後の木材不足の折には合成素地による近代漆器を開発。現在、近代漆器は山中漆器の生産量の8割を占めるまでとなり、日本一の出荷額を誇る。

約450年の歴史がある、石川県の山中漆器。

しかし山中漆器連合協同組合理事長の竹中俊介氏によると「2年ほど前から売上が伸び悩んでいる」という。「品質が良いというだけで、モノが売れる時代ではなくなった」と話す竹中氏は、この状況に歯止めをかけ、さらに山中漆器を成長産業へと転換するには、海外市場の開拓が必須であり、その実現に際してはデジタルの活用が不可欠だと考えている。

カナダのYouTuberの紹介で、山中漆器の売上が一気に倍増

竹中氏がそう考えるに至った背景には、今から4年ほど前にデジタルの威力を実感したことがある。カナダのYouTuberが山中漆器を取り上げたことで、カナダ国内での売上が倍増したのだ。

さらに、海外に視野を広げる竹中氏に海外のバイヤーは「デジタルマーケティングを行わなければ海外の販売チャネルは開拓できない」と言われ、デジタル活用に後れをとっている現状に危機感を抱いた。

デジタルマーケティングで効果を上げるには産地全体で取り組む必要がある。しかし生産者の多くが、具体的に何をどうすればよいのかわからない状態にあった。そこで山中漆器連合協同組合ではデジタルマーケティングの実務家を招いた組合員に向けたセミナーなどを開催してきた。

山中漆器の生産者が集まったセミナーの様子。宣伝会議がセミナーについて企画・協力した。

マスマーケティングではなく、デジタルだからこそ、大手企業だけでなくより裾野が広く多くの組織がマーケティング戦略を企画・実行できるようになる。山中漆器はデジタルの力を活用し、世界市場への進出を目指していく。