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「CES 2020」現地レポート② — SamsungとLGに見る要素技術を体験に昇華させるストーリー構築力(森 直樹)

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LGも体験とAIを中心テーマに発信

プレスカンファレンスでLGは、未来のAIと人間の体験について触れ、今後AIと体験に重点を置くと発表。Samsungと同様のメッセージとなりました。その上で、LGが力を入れているAIプラットフォームであるThinQを中心としたエコシステムの現状と未来について紹介。ThinQプラットフォームは、クラウド、ビックデータ、AIを中核要素として、製品・サービス・ソリューションを提供するものです。

さらにThikQ を活用したLGのスタマーサービスである、プロアクティブケアについても紹介。これはビックデータ解析とAIエンジンを活用して、家電機器のメンテナンスの必要性を予測することができるようになるというもの。これにより、生活者とその住居空間を常に最適化して、適切な環境を維持することができるようになるそうです。

こうした事例を紹介しながらLGではAIによるイノベーションが産業や私たちの生活に、どのような意味を将来もたらすのかについて説明。そこで、なされた主張とは単に生活が改善するということではなく、ビジネスの本質に大きく影響を与えるものだということでした。企業と顧客との関係性、販売と顧客との関係、顧客と製品とのつながりを大きく転換するというのです。

LGが提供するプロアクティブケアによるカスタマーサポートの新しい体験。製品自身がビックデート実装されたAIによってメンテの必要性を察知して通知を行い、LGの機器メンテナンスを適切に受けられる様子。

SamsungとLGの発信からは、彼らの製品の要素技術やエコシステムの中核がAI中心となり、加速している様を体感できました。彼らはさらにXR技術(ARやVR)、ロボティクスも製品実装して家電のエコシステムに組み込もうとしています。テクノロジーによる新しい体験を人々にもたらすのだという強い意志を感じます。

そして“人間”を中心に置くことで、人々の根源的な幸福や価値と、自らのプロダクトをストーリーとして繋げていることも印象的でした。またそのストーリーの中核にはテクノロジー、特に今回は主要テーマであるAIが中核的な役割を果たすという設計も感じられました。   

ストーリー設計と要素技術、プロダクトのエコシステムの繋がりこそ、彼らが市場で強いブランドとして発信力を有しているのではないでしょうか。

森直樹
電通 CDC エクスペリエンスデザイン部長 クリエーティブディレクター

光学機器のマーケティング、市場調査会社、ネット系ベンチャーなど経て2009年電通入社。米デザインコンサルティングファームであるfrog社との協業及び国内企業への事業展開、デジタル&テクノロジーによる事業およびイノベーション支援を手がける。日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会の幹事(モバイル委員長)。著書に「モバイルシフト」(アスキー・メディアワークス、共著)など。ADFEST(INTERACTIVE Silver他)、Spikes Asia(PR グランプリ)、グッドデザイン賞など受賞。ad:tech Tokyo公式スピーカー他、講演多数。