機能的価値の方が情緒的価値よりも、圧倒的に重要である
ところで、あなたは「モノよりコトの時代だから、機能的価値より情緒的価値が重要である」つまり、『製品サービスの質(機能的価値)よりもイメージ(情緒的価値)が大事』などと、まさか本気で思っていないですよね?
「機能的価値の方が情緒的価値よりも、圧倒的に重要である」ことはいうまでもありません。比べるのもばかばかしいくらい、機能的価値が重要です。
もし、あなたが情緒的価値の方が重要と間違えていたら、大いに反省すべき。あなたはブランド論をわかったつもりになっているだけかもしれません。そして、なぜ間違ってしまったのか、どんな省略に気づかなかったのかを考えてみて下さい(機能的価値が重要である理由を今回はあえて書きません)。
ありがたいことに、「ごちゃごちゃ言ってないで、わかりやすいブランドの定義を早く説明しろ」という声をたくさんいただいています。ただちょっと待って欲しい。現代においては、すぐに結論や答えが求められがちですが、私もすぐに答えを求めようとしたことで、「牛の呪い」にかかってしまったのですから。
ブランドに限らず、仕事であれスポーツであれ、基礎がなにより大切だと思います。
このコラムが、5回目回になっても実務者のブランドの定義までたどり着かないのは、ブランド論が説明していることの本当の意味を『わかったつもり』ではなく、わかってもらわないといけない、基礎固めをして欲しいからです。コラムの文字量にも限界があるので、もちろん省略や例えも最低限使わざるをえませんが、できるだけ順をおってくどくど説明して、考えるきっかけを得てもらい、考えてみて、理解して、そしてわかるというステップを踏むことにしたいと。
そうでなければ、私の定義も、みなさんにとっては『わかったつもりの新たな定義』が増えるだけ、やっぱりブランドがつくれません。
ここで、ブランド論でブランドをつくれない理由のまとめます。
ブランドを
あいまいな定義で(なんなのか誰もわからないブランドというものを)
あいまいな目的で(もしくは間違った目的で)
つくろうとしているからです。
そうです。そもそも、できるはずがない。
コラムも5回目になりましたが、ブランド論の教科書通りに実践しても、ブランドができない課題を順に解説してきました。本当は、まだまだブランドについてわかったつもりが残っています。コラムの回数にも限界もあり、5回でわかったつもりを最低限わかったに変換できたと過信して…。次回はいよいよ「実務者が33年かかって、たどりついたブランドの定義」について解説していきます。
※本コラムの6回目記事公開は、2020年3月19日(木)を予定しています。
「ブランドなんか大嫌いなブランド担当者が33年かかって、たどり着いたブランド論」バックナンバー
- 実務家はまず自社ブランドが消費者の「想起集合」に入ることを目指そう(2022/9/13)
- 『実務家ブランド論』であえて書かなかった「理論」を解説します(2022/9/09)
- 日本におけるブランドづくりは、いばらの道。だからこそ取り組む価値がある。(2020/9/03)
- そもそもブランドはどうやってできる? ブランド戦略におけるコミュニケーション施策のつくり方(2020/8/20)
- ブランド「戦略」不在 、「戦術」だけのブランドづくりの大罪(2020/8/06)
- SDGsで、ブランドなんかつくれません! 「ブランド論の幻想」に反論します。(2020/7/22)
- 「ブランドパーソナリティ」を偽ると、ブランドづくりは失敗します。(2020/7/09)
- もし、あなたが煎餅屋の店主だったら? 凡人ブランドがブランドプロミスをつくる方法(2020/6/25)
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