コラム

澤本・権八のすぐに終わりますから。アドタイ出張所

今までのすべてを1回崩してレッスンに励んだ20代(ゲスト:桜井ユキ)【後編】

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思考が止まるくらいのハードな作品

中村:いつぐらいに「あっこれ私ちょっといい感じかも」という手応えがあったんですか?自分では言いにくいかもしれないけど(笑)。

桜井:いや本当になくてですね。とにかく必死だったんですよ。今も必死ですけど。一度ご一緒した監督さんが呼んでくださるっていうのもすごく大きかったですし。ありがたいことに、園子温(その・しおん)監督の映画に度々呼んでいただいたりとか。その都度これが転機っていうタイミングもあるんですけど、大きかったのは一番最初に教えていただいた先生もそうですし。その後、園さんとご一緒して何度か呼んでいただいたっていうのは、人の目に触れるきっかけになったかなと思っています。

権八:自分の中で、あの時のあの演技が一皮むけたな、みたいなのはあるんですか?

桜井:いやないですよ。ないです、ないです。それを思いだしたら、私終わりだなって思うんですよ。どの作品でも、今でもそうですけど。自分の芝居に酔いしれたら終わりだなって思って。

権八:酔いしれたらではないんだけど、でもここのラジオに来てくれる女優さんとかでもそういう話よくしますよ。例えば演出家の方に言われたことがずっと励みになって頑張っていたとか。

桜井:あー!!もちろん言葉とかはあります。それを言われて、意識するようになったことでなんか楽になったっていう瞬間はあるんですけど。「いやーこの作品の私良かったな」とかはないです(笑)。

中村:いや、でもあれですかね。それこそ前回来ていただいた松本まりかちゃんみたいな、自分のハマり役みたいなのにバシッとハマると、「私これかも、これ系かも」みたいなのはあるかもしれないですね。

権八:ここ数年すごく体当たりというかね。すごい頑張るなみたいな印象があります(笑)。

桜井:でもそれで言うなら、私数年前に『リミット・オブ・スリーピング ビューティ』(2017)っていう映画に出させていただいたんですけど。それは転機でいうと大きかったかもしれないですね。先ほどおっしゃった体当たりって言われるようなお芝居がそこにもありましたし。自分が準備できないくらいの精神状態で臨んだ作品ではあるんですよ。体力的にも、スケジュール的にも、内容的にも。本当に「こうやろう、ああやろう」という思考がストップしてしまうぐらいハードな作品でした。

次ページ 「20代の地獄のレッスンが今の演技につながっている」へ続く

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