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コラム

NYから解説!日本企業のグローバルブランディング

米大統領選、トランプ氏の“オレンジ色肌”が拡大した理由とは

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不調を隠した肌色カモフラージュ

2つ目の仮定は、顔色の悪さや肌のくすみがひどいということ。そのような時、オレンジ色を使うことで上手く隠せるのだ。

最終討論会時、トランプ氏は、顔全体はもちろんのこと目の周りが相当くすんでいたのかもしれない。それをしっかり隠すために目の周りまで厚塗りでオレンジ色にしたと考えられる。

バイデン氏は、最終討論会当日に向けてキャンペーンを休んで準備をしていたが、トランプ氏はギリギリまで遊説をしていたため明らかに疲労していた。討論会中の表情もさることながら、顔の様子がはっきり見て取れる画像で確認したその肌はボソボソで、今時珍しいドウラン厚塗りのように見えた。

トランプ氏の瞳の色は、グレーがかったブルー。濃く黄色味の強い色に肌を着色すると、瞳の印象が薄くなり、白目が黄ばんで濁って見えてしまうというデメリットが生ずる。つまり、目力を失う大きな原因となるのだ。だから従来は、目の周りだけは元の肌の色を保っていたのだろう。

しかし、そのリスクをとってまで目の際までもをオレンジ色にしているということは、次の2つが想像される。

1. 肌がかなりグレーにくすんでいる。目力よりも、健康の不具合が現れた肌や不調が最も出やすい目の周りを隠す方を最優先と判断した。

2. 実際、目に黄疸が出ていて、それをカモフラージュするために顔全体的に黄色味を強くしカモフラージュした。

いずれにせよ、目力頼りは潔く諦め、大声と畳み込むような話術、大袈裟なジェスチャーで演じ切る戦略を選んだといえる。

もっとも、トランプ氏にとって、感じよく、センスよく見せることなど何の意味もないだろう。何故なら彼の目的はひとつ。どんなことをしても勝つことだから。

それは4年前の大統領選の時も同様だった。勝つにあたってメディアで自分をどう見せるか、何が最優先事項で何が最もリスクかの判断は、多分誰よりも早いに違いない。その方法が一般的理論では有り得ない滑稽でケッタイなことであろうが。それがトランプ氏がトランプ氏である所以だ。

そこでひとつ誤算があったと考えられるのが、彼特有の大袈裟なジェスチャー、話している最中アコーディオンを弾くかのように動くあの手だ。手元にはファンデーションを塗っていない為、同画面上に顔と手が映った瞬間、一層濃厚になったオレンジ色の顔と薄ピンク色の手に視聴者は違和感を覚える。そのことに実際気づくか気づかないかの差はあれ、無意識下で違和感を覚える人々も少なくないはずだ。

その手元だが、10月30日にウィスコンシンで開催されたトランプ集会のスピーチ時、黒いレザーの手袋がはめられ、顔の色との差が分からない状態になっていた。この日のその時間、現地の気温は5℃。確かに寒いとも言える気温ではあったが、同時刻NYは1℃しか変わらない6℃。筆者は実際温度を体感しようと外に出て歩いてみたが、レザーの手袋など不要な気温だった。

そう考えると、やはり塗り込めていない手元の本当の肌のトーンを見せないようにする為だったのだろうか?とも思えてくる。それに、手袋をすることで手はひと回り大きく見える。トランプ氏は、手が小さいことにコンプレックを抱いていると言われているが、それもカバーされて一石二鳥だったといえる。

ちなみに、この肌にオレンジ味を加えるテクニックは、実際に企業トップにも勧めることがある。例えば、激務が続き疲労で顔色が悪いとき、またアトピーで肌がグレーにくすみがちな方など。少し黄色味のあるフェイスパウダーや、ファンデーション、もしくはコンシーラーで、肌の最もくすんでいる部分を整えバランスをとるだけで、プレゼンスとしての全体バランスを向上させることが可能な、非常に有効な方法なのだ。

自身を鼓舞するためのルーティーン

そして、3点目。以前はオレンジ色にしていなかった目の周りまで着色し始めたのは、自身を鼓舞するためのルーティーンの加速と考えるのはどうだろうか。

それは、有権者へのアピールだけではなく、11月3日の投開票日に向けてラストスパートをかけている自分自身への勢いづけで、しっかりオレンジ色に肌を塗り、最後までトランプ劇場を演じ切る覚悟とも言えるのではないだろうか。だとしたら正にオレンジ色フィーバーなルーティーンだ。

目の際までオレンジ色にした真意は?バイデン氏との対比を駆使した若々しさとパワーの誇示か、不調を隠した肌色カモフラージュか、はたまた自身を鼓舞するためのルーティーンの行き着く先か「全てはトランプ氏のみぞ知る」なのだが、いずれにせよ米国時間の今晩、結果が出るだろう。ただ固唾を飲みながら、その時をじっと待つ身には、せめて「一層焼けたオレンジ色肌の謎」でも分析しないではいられないのだ。