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バイデン大統領、就任式でラルフローレンのスーツを着た理由とは

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ラルフローレンの「礼儀正しさ」や「品位」がメッセージに

白のドレスシャツはまっさらな清潔感を示し、ライトブルーのタイは雲ひとつない明るく晴れた空のように、何も隠すことのない真実や純粋さ、そして爽やかさと冷静さを印象付けていた。また、このライトブルーには、「希望を感じる変化と変革」という意味もある。一世一代のこの日に、分かりやすい強さを見せる赤ではなく、ライトブルーのタイを選んだバイデン大統領の強い意志がここに込められていると感じた。

アメリカでは就任式以前より「大統領は何を着るだろう?」という噂や予想が飛び交う。ブルックス・ブラザーズを着用してきた歴代大統領が非常に多い中、「バイデン氏はラルフローレンなのではないか?」という予測がされていた。それが的中、バイデン大統領は以前から好んで着用していらっしゃるというラルフローレンのカスタムメイドでの登場となった。

写真で見れば分かる通り、彼のスーツスタイルは非常に上品で時代を超越している。スーツのシルエット、着丈、ラペルの幅に至るまで適切。特筆すべき点はズボン。ぴったりしすぎないけれど、すっきりしたシルエットのものを履いており、全体的なバランスとしても非常にスッキリとしていて見た目が良く、現代的。その点でも、見る者に現役感を感じさせ、年齢による懸念をする人々への配慮がなされている。しかし、それは着るものに気をかけている人(スタイリッシュすぎる人)という感じは一切ない。大統領としての任務を遂行する覚悟をした人の存在感だ。

従来からご自身が好んで着ていらっしゃるラルフローレンで就任式の服を用意した理由の一つは、「着慣れている」ためだろう。しかし、理由はそれだけではないはずだ。ラルフローレンというブランドの持つ、「礼儀正しさ」や「品位」というイメージを、ご自身がアメリカを建て直す際のメッセージと重ねたのではないかと考える。

また、ご自身が好むブランドで仕立てた服を纏うことで、「America Unite」を目指して邁進する自分を奮い立たせたのではないだろうか。一国を率いるリーダーになるということは、並大抵の覚悟ではない。それも、現在のアメリカのように病んでいる国を立ち直らせる役目も背負い、大統領就任の宣誓する場に立つわけだ。それがどれほどの重責か、もはや想像を超えている。

それを覚悟の上で前進するバイデン大統領が、アメリカの分断というページを閉じ、新たな時代のページを開くその時には、自分に勇気を与え、心の支えとなるものが不可欠だ。それがラルフローレンで身を包むことだったのかもしれないと思っている。これこそ一世一代の「ドレス効果」の有効な活用方法だ。

「装う」ことは、メッセージを視覚的に伝える手段

「装う」という行為は、単なるファッションや流行ではない。自分の信念を体で表現し、たたずむそのプレゼンスにより、強固なメッセージを発信し、目で見て納得させる為の重要な手法でありツールだ。それと同時に、自らに自信を与える「こと」であり「もの」なのだ。

その姿で語られたスピーチは、この4年間の苦痛を耐えてきた人々に大きな安堵感を与えた。そしてそれは多くの人の記憶に残り、歴史に刻まれるのだ。

ネイビー、白シャツ、ライトブルーのタイ、ラルフローレンというブランド、その意味を知った上で彼の大統領就任スピーチを聞くと、そのメッセージの強さがより強く伝わってくるのではないだろうか?

「America Unite」のメッセージを掲げて一歩を踏み出したバイデン大統領とその政権の道のりは決して緩やかではないだろう。しかし、この就任の宣誓をしたその日の姿勢を貫き、是非とも明るい灯の見える方へと、このアメリカを導いてもらいたいと期待している。

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