異なる人種、多国間でのオンライン広告運用
デジタルマーケティングで利用される広告のメディアは数多くありますが、Google、Facebookといった巨大メディアは非常に有効です。今や、テレビや新聞よりも多くのユーザーにリーチできるプラットフォームになっているのは皆さんもご存知かと思います。
世界中で使われているGoogle、Facebookのプラットフォームは、海外の対象国に簡単に広告を出稿できることから、当社でもよく利用をしています。ただ、この2大メディアも日本で配信する場合と他国で配信する場合では大きく違う点があります。
先ほど取り上げたカンボジアを例に見てみましょう。
カンボジアでは、Google検索が公用語のクメール語に対応していません。実際に、調査で現地のカンボジア人に直接ヒアリングをしましたが、Googleによるブラウザ検索はあまり使わずFacebookで検索や情報取得を完結させることが多い実態が明らかになりました。
Facebook上では、実際には知らない人とも気軽に友達申請をして繋がることが多いようで、一般の人でも友人が1,000人以上いるような方がたくさんいる状況です(Facebookのアクティブ率の高さはフィリピンでも同じような傾向があります)。そのため、一般ユーザーの何気ない投稿に、多くの方がコメントやリアクションをしており、結果、多くのユーザーに情報が拡散されやすい国であることが分かりました。
先ほど紹介したJFT-Basicのプロジェクトでは、認知を拡大するためのオンライン上の広告施策として、Facebook広告をメインに計画を行いました。実際に配信をしてみると、日本でFacebook広告を配信するよりも多くのコメントやリアクションがあり、結果として1クリックあたりの費用が、日本での平均的な金額の10分の1以下にまで抑えて配信することができました。
ただ、この反応の良さからかクリエイティブ(情報)の摩耗も早く、日本以上に早いサイクルで広告を作り変え、配信を行う必要があるという難しさも目の当たりにしています。Facebook広告は、日本でも非常に多く使われているかと思いますが、配信国が違うだけでプランや運用の方法も大きく変わることを実感した機会でした。
私が住んでいるオーストラリアでは、様々な人種の方が多く、英語以外の言語も頻繁に使われています。とある日本企業のオーストラリア市場に向けたプロモーションでは、Webサイトのアクセスが特に多かったベトナム系と中華系のターゲットに対し、ベトナム系の方に対してはベトナム語、中華系の方には中国語(簡体字)でそれぞれ広告を開発し、ランディングページも各言語に対応させて実施しました。
施策を開始してみると、ベトナム系のターゲットはFacebookのリアクションが高く、英語1パターンで配信していた時よりも良好な結果を得られました(先ほどのカンボジアの例もそうですが、東南アジア圏はFacebookを使ったアプローチの反応が良い印象があります)。
一方で中華系のターゲットは当初の計画通りのリーチが十分に得られず、やはり中国本土で利用されているBaiduやWeibo、オーストラリア現地の中華系メディア(Sydney Todayなど)にも出稿する必要がありました。オーストラリアというひとつの国であっても、対象の人種が異なれば、メディアや配信手法を切り替える必要があることを実感しました。
日本ですでにGoogleやFacebookの広告運用を経験されている方であれば、海外に向けても簡単に配信をすることができます。先ほど挙げたカンボジアやオーストラリアの例のように、国や人種によって反応は全く異なりますから、対象となるマーケットの状況を見極めながら、配信方法を最適化することが重要です。
さて、今回はデジタルマーケティングをテーマに書かせていただきましたが、いかがでしたでしょうか。ただ、単純に日本語を現地語に翻訳すればいいというわけではないことがお分かりいただけたかと思います。
冒頭で述べたように、海外のマーケットは広く、外国人と簡単に繋がることができるオンラインの世界は大きなポテンシャルを持った場所です。Webサイトの情報発信やオンラインの広告配信を日本国内に限定するのではなく、一度世界に目を向けてみてはいかがでしょうか。
次回にて私のコラムは最終回となりますが、第7回のコラムではこのコロナ渦において海外に対してどのように日本のモノやコトを盛り上げていくべきかお話をさせていただければと思います。
「これからのマーケティングはクロスカルチャーだ! ―日本人マーケターが世界で価値を伝えるには?」バックナンバー
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