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コラム

澤本・権八のすぐに終わりますから。アドタイ出張所

「新R25」はジャーナリズム精神を一切捨てた、インフルエンサーファーストメディア(ゲスト:渡辺将基)【前編】

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フリーペーパーからWEBへ 「新R25」シフトチェンジ成功の策

中村:渡辺さんが「新R25」の編集長になった経緯も知らないでお呼びしてしまったんですけど、どんな経緯だったんですか。

渡辺:もともと「旧R25」はリクルート関連の会社で運営していました。僕はサイバーエージェントで、「R25」とターゲットが同じような、若いビジネスパーソンに向けた新しいメディアをつくりたいなと考えていたときに、たまたま「R25」の事業譲渡の話が会社に来ていたんです。「R25」のフリーペーパーは廃刊、WEBサイトもクローズという時期でした。1回終わりかけてしまったメディアの冠を使って新しくメディアをつくるのは、うまくいけば「前例がないから面白いな」と思ったんですよね。ブランドと根っこの思想だけ守って、他は思い切り変えて、もう1回Webで復活させられないかと、僕がそこで編集長に就任する形になりました。

中村:旧「R25」はフリーペーパーで地下鉄とかにあったよね。東京都内ではリーチしてない人はいないんじゃないかってぐらいだった。

渡辺:本当そうでしたね。当時はあのマーケティングチャネルが最強だったけど、今は電車の中で情報を得るデバイスがスマホに取って代わられて、フリーペーパーの出番がなくなってしまったんですよね。

ただWEBの世界に行くと、独占的なマーケティングチャネルが無くなってフラットな勝負。そこで勝つのは簡単ではなかった。そこで運営母体をサイバーエージェントに移し、Webでもう1回メディアを復活させようという流れになりました。

中村:「やっぱりアナログじゃなくてデジタルで戦おう」としたときに、ものすごくブランドネームの通ったものとはいえ、別の敵や競合がいるわけじゃないですか。その中でどうしていくか戦略は立てていたんですか。

渡辺:初めは試行錯誤でした。WEBのメディアでブランドを確立しているところってあんまり多くないんですよ。なぜならWEBのメディアはブランドをつくりづらいから。例えばフリーペーパーや本なら、手に取ったら一応頭からお尻まで目を通すじゃないですか。でも、これを全部バラバラにしてWEBに出すと、隙間時間でチラチラ見るようになるのでパッケージで見てくれる人はほぼいなくて、バラバラに消費されちゃう。ブランドの世界観を伝えることができない難しさがあるなと思ったんですよね。

そこで僕らがとった手段は、まずコンテンツ単体のインパクトをつくること。世界観だけつくっても、見てもらえなかったらブランドはできません。1個1個のコンテンツにインパクトがあり、SNSで爆発的に広がっていくことがマストであると考えました。もうひとつは、コンテンツが拡散した先で「あれ?また『新R25』だ」って思わせられるようなマーキングをするということ。その2つに執着してフォーマットをつくっていきました。

中村:確かに、インタビュー記事でも「新R25だ」と見た瞬間わかりますもんね。キャッチ-な吹き出しとか、赤と白のデザインとか。

渡辺:その辺の感覚を模索しながら、手応えをつかんでいきましたね。初めは旧「R25」でウリだったニュース解説を引き継いで、時事ニュースを分かりやすく伝える記事をつくってたんですけど、うまくいかなくて……。「情報を伝える」ということを1回諦めたんです。それよりも「熱くなって何かやってみたくなる」とか「挑戦したくなる」「動きたくなる」と、行動変容・態度変容を起こすような情報や考えを伝える方が、価値があると思い直したんです。「この人の考えをどうやったらSNSで思いっきり伝えられるか」というのにシフトチェンジしたら、うまく行きだしたんです。一番初めにうまくいったのは堀江さんの『多動力』を読んで、「極論を言ってるんじゃないの?」って突っかかっていくコンテンツだったんですけど……。

権八:やっぱり堀江さんのインタビューが一番ガっと伸びたんだ。

渡辺:そうですね。堀江さんのインタビューの次に、今の吹き出しでやりとりする形でヒットしたのが、藤田晋社長にお金の話を突っ込んで聞くという企画でした。みんなが思ってることを体当たりで聞いて、それを普通のメディアのように整えて伝えるんじゃなくて、うまくいかなかったやりとりも含めてその場の空気感を、臨場感を持って伝える。あのスタイルが受けました。

権八:面白かった。あれは新鮮だったよね。

渡辺:そういうのを試行錯誤するうちに、形ができていきましたね。

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