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【解説】これだけは知っておきたい GA4有料版の活用ポイント

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2023年7月1日をもってユニバーサルアナリティクスのデータ計測が終了することにともない、アナリティクスの後継ツールの「Googleアナリティクス4(以下、GA4)」への移行が一部を除き完了した。その一方で、GA4の活用が進んでいくと無料版の限界も見えてくる。無料版と有料版の比較、有料版の拡張機能のなかでも特筆すべきポイントとは。アユダンテの山浦直宏氏、藤田佳浩氏が解説する。

無料版との相違点から浮かび上がる
GA4有料版の特徴

GA4は無料版と有料版がリリースされているが、違いは大きく2つ。「無料版の機能拡張」と「有料版固有の機能」だ。

「無料版の機能拡張」は、計測・レポート・プライバシー保護・APIの各項目に設けられている測定数や設定数などの上限が緩和される。もうひとつの「有料版固有の機能」は、サブプロパティ・統合プロパティ・自動拡張データセット・拡張データセットがあり、より多様なデータ活用ニーズに対応できる。

GA4有料版における固有機能のうち、今回は5つのポイントを挙げる。

 

1.データの保有期限

「データ保持期限」は、無料版の最長14か月から有料版では最長50か月となる。GA4は個人を特定するユーザー識別子をGoogleアナリティクスが発行し、GDPRやCPRAなどプライバシー保護に関する設定が搭載されている。グローバルビジネス企業は、コンプライアンスを遵守しつつ、より長期的なトレンド追跡を行う必要がある。

無料版では14か月以前のデータが保存されないため、2023年7月時点で同年1月と2022年1月の昨対比較を分析したい場合でも、2022年1月のデータは14か月を過ぎているため使用できない。その点、有料版は50か月の保持期間を有しており、昨対比較や4年前のデータも活用可能となる。

 

2. BigQueryイベント数制限

「BigQueryイベント数制限」は、GA4における重要なポイントのひとつである。有料版では、GA4からクラウドサービスのBigQueryにデータをエクスポートする際の制限が緩和される。この機能を活用することで、自由にBIツールなどを使用してダッシュボードを作成することができる。さらに、CRMや基幹データなどとの連携により、多様なデータを活用することが可能だ。

ただし、無料版では1日あたりのイベント数には100万の上限が設けられている。「注意すべき点は、制限がボリュームに関するものだけでなく、100万イベントを超えるとエクスポートが停止されることです。」と藤田氏は指摘する。

「事前に有料版への切り替えや対応方法についてアナウンスされるが、対処しないとそれ以降一切エクスポートができなくなります。BigQueryへのエクスポートデータを絞ることが対処方法のひとつですが、計測したデータを間引くのは本来の目的に沿わないばかりでなく削除したデータを戻すことは不可能なだけに得策とは言えません。大規模なデータ分析・活用を想定するのであれば有料版が適しています」(藤田氏)

 

3.サブプロパティ

有料版には、特定の機能がある。ひとつは「サブプロパティ」だ。元になるプロパティ(参照元プロパティ)から特定のイベントやサービスサイトを切り分けて作成することができる。この機能を使用すると、ベンダーや代理店ごとに異なるデータを公開すること可能だ。これにより、社内ガバナンスに合わせて閲覧範囲を制限することができ、柔軟な活用が期待できる。

 

画像説明文

 

4. 統合プロパティ

もうひとつは「統合プロパティ」だ。この機能では、オウンドメディアやECサイトなど、複数のプロパティをひとつにまとめることができる。たとえば、異なるサイトごとに計測管理者を設けている場合でも、データを統合して包括的に把握したい場合などに役立つ。

この機能は、広範囲のプロパティを対象にしているが、藤田氏は「計測タグなどを実装する必要はなく、設定画面で統合したいプロパティを指定するだけで簡単に統合できます。管理画面はシンプルでガバナンスの観点でも活用でき、レポートも簡単に作成可能です」と説明する。

 

画像説明文

 

5. オーディエンスの上限緩和

最後に「オーディエンスの上限緩和」について解説する。オーディエンスとは、特定の特徴や行動を持つユーザーを抽出してリスト化する機能だ。このリスト化されたデータをGoogle広告と連携することで、特定のユーザーを対象にした広告を配信することが可能になる。

この機能は、ユニバーサルアナリティクスやGA4の無料版でも利用できるが、有料版ではプロパティごとに設定できるユーザー数が400個まで拡張されている。さらに、GA4から新たに追加された「オーディエンストリガー」は、特定のオーディエンス条件を満たしたユーザーリストをトリガーとしてイベントを計測できる。

たとえばWEBサイトの場合、これまで会員登録完了ページのみを単一の「点」として計測していた。しかし「オーディエンストリガー」を使用することで、「特定のキャンペーンをみた」という条件を設定することが可能になる。つまり、キャンペーンページや遷移元となる様々なコンテンツを起点に、会員登録入力ページから会員登録完了ページまでの「フロー」として計測することができる。

 

画像説明文

考慮すべきは、作成した「オーディエンストリガー」はオーディエンスとして保存されることだ。オーディエンストリガーの保存上限は、無料版と有料版の両方で1プロパティあたり20個と差はない。しかし、大規模なサイトや広告施策で様々なオーディエンスを利用している場合、無料版の上限である100個では不足する可能性がある。

「オーディエンストリガーは、コンバージョン計測によりGoogle広告を評価できるなど、まだまだ活用の余地が広がっています。GA4の機能のなかでも非常に強力な存在であるため、オーディエンスの上限が400個に拡張される有料版が有益か否か、長期的な視点で検討してみてほしいです」(藤田氏)

GA4有料版の活用においては、固有機能の詳細、サブプロパティ作成やプロパティ統合に際しての課金の必要性など、把握するべき情報が多い。有料版の料金の仕組みもユニバーサルアナリティクスの時から変更され、価格帯もより多くの企業が利用できるように変更された。

「アユダンテでは、ブログ記事(GA4関連投稿が既に100本以上)やYouTubeのアユダンテチャンネル(GA4関連動画30本以上)などを通じて情報発信を行っています。さらにGAの運用や活用に関するセミナーも多数開催していますので、GA4について学びたい方や有料版の特定の機能について知りたい方は、ぜひチェックしてみてください」(山浦氏)

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アユダンテ デジタルソリューション事業部 COO
山浦 直宏 氏

アユダンテ デジタルソリューション事業部 シニアコンサルタント
藤田 佳浩 氏



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アユダンテ株式会社
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