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リーチのコスト効率が既存TV施策の140倍!パーソル×ごっこ倶楽部のZ世代向けTikTokマーケティング事例

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消費者やメディアの多様化とその変化のスピードは予想を超えており、マーケティングの難易度は日々高まっている。特に、今後の市場を牽引するであろうZ世代はデジタルネイティブでもあり、メディアとの接触でもテレビCMやWeb動画CMなど既存のマーケティング手法では届かない、響かないことが課題となっている。そのZ世代にリーチできるSNSを活用したコンテンツマーケティングとして注目されつつあるのがTikTokの縦型ショートドラマだ。その可能性にいち早く着目し、コンテンツを制作しているのがクリエイター集団、GOKKOだ。パーソルホールディングスはGOKKO協力のもと、2023年3月30日に公式TikTokアカウントを開設し、縦型ショートドラマの公開をスタート。開始からわずか約3カ月で、フォロワー10万人、累計再生回数は約4,000万回という、驚異的な結果を出している。

@persolgroup

この記事では、以下のポイントに触れながら、いわばZ世代向けのTVCMといえるような、TikTokにおいてターゲットへのリーチをMAXにしながら、コンテンツを接点としたブランディング(企業のファンづくり)の手法を紹介する。

  • ● Z世代向けのブランディング・認知施策としてのTikTok活用方法と期待できる効果
  • ● 企業がSNS,TikTok上でのコンテンツ発信で成功する為の重要な考え方
  • ● 施策を始めるためのステップ

ブランド、企業理念・ ビジョンの浸透を目的に縦型ショートドラマにチャレンジしたパーソルHD

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テレビCMで認知を獲得し、購買行動を促すことができていた時代は、もはや過去のものとなった。マスマーケティングの難易度は上がり、消費者のライフスタイルは多様化。年齢・性別を問わず、全ての人を網羅して接触するため、多くの企業では複数の広告媒体を組み合わせて活用している。その一つとしてもはや外せない媒体となっているのはデジタルであり、SNSだ。

これらのマーケティング活動においては、企業側の一方的な「情報の押し付け」は忌避されかねない状況ですらある。特に、今後の消費活動の中心を担うことになるZ世代においては、従来通りのマーケティングセオリーはより一層通用しないことがわかってきている。デジタルネイティブのZ世代は、日常的に触れるコンテンツもオンラインが多く、そもそもテレビを持たない人も増えてきており、その時点でテレビCMでの接触は期待できない。また、情報の押し付け、時間を奪う広告を嫌う傾向も出てきており、Youtubeなどオンラインコンテンツにおいても、課金してでも広告を回避する傾向もあるほどだ。つまり、Z世代に響くマーケティング手段としては、彼らが多くの時間を使うプラットフォームにおいて、広告であったとしてもコンテンツとして「見られる」ものを提供することが重要となっている。「まず➀コンテンツとして好きになってもらい、その先に、➁アカウント、➂ブランドの順にファンになってもらうような考え方のもとアクションすることが重要です。」(GOKKO中矢啓樹氏)

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2016年の新グループブランド「PERSOL(パーソル)」発表以来、グループブランド認知とグループビジョン共感の獲得を目指し、さまざまなマスマーケティングを活用してきた。2022年度からは傘下にある転職サービス「doda(デューダ)」や人材派遣サービス「テンプスタッフ」をはじめとするサービスブランドの浸透・利用促進を目的に、グループ各社が広告展開をする形に路線変更 していた。

一方、ホールディングス としても、引き続きグループブランド認知とグループビジョン共感向上のため、ターゲットと親和性の高い新しい広告手法を模索していたという。

TikTokはターゲットとする20代〜30代への接触が期待でき、動画を通じてメッセージを届けることができ、テレビCMではアプローチが難しい層を狙う、もう1つの方法として有効なのではないかと考え、縦型ショートドラマを活用することとした。これまで、Twitterのアカウントは開設・運用していたがTikTokは初めて。しかも、日本国内での事例もまだほとんどない企業による縦型ショートドラマの活用はかなりのチャレンジとなる。同社の北爪氏は、社内承認における対応を振り返る。

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「社内でTikTokを普段から見ている人はそこまで多くはなく、どんなものなのかわからないので可否の判断もしようがないという状況でした。そこで、権限を持つ人や動画のチェックをする立場の人にはTikTokで流行っている動画を都度見てもらいました。その時にも、ただ見てもらうのではなく、私の感想やターゲットに受けている理由などを添えることでプラットフォームとコンテンツへの理解を促していきました」

アカウント開設から1週間で1万2000フォロワー獲得に成功

上記の通り、新たなチャレンジとしてスタートしたパーソルHDのTikTok公式アカウント運用。TikTokに対する社内関係者の見方を変えたのは、公開後の反応だった。3月30日の公式アカウント開設と同時に4本の動画を公開。運用開始から1週間でフォロワーが1万2000に到達。約3カ月経過した7月初旬には16の動画が約4,000万回再生され、フォロワーも10万人に増えた。リーチにおいては、既存TV施策と比較してコスト効率が140倍と、驚異的な結果を出している。しかもそこでは広告を運用して再生回数を伸ばすなどの誘導施策は一切行わず、オーガニックのみでこの結果を出している。

「前例がなかったため、まずは運用開始から3カ月で1万フォロワー、1年後に3万フォロワーになれば良いのではと予測していたのですが、その数字を1週間で超えることができました。当社で運営しているSNSで最もフォロワーが多いのが2017年から運用しているTwitterで8万フォロワーだったので、それに一気に迫る勢いでしたので、社内の空気も変わりはじめました」(北爪氏)

フォロワー数の増え方からわかるように、視聴者からの反響も多く寄せられた。「仕事大変だけど、明日も頑張ろうと思った」など、コンテンツを見た人たちが自身の働く日常を振り返り、共感したことがわかるコメントや、ターゲットよりもさらに若い10代からも将来の働く自分をイメージできたというものもあった。営業社員が取引先を訪問した際に、「ドラマ見たよ」と言われるケースもあり、その拡散力を実感したという。

「働く人には狙い通り伝わっていましたし、働いていない人からの反応からは私たちも新しい視点を知ることができ、思いがけない収穫になりました」(北爪氏)

また、通常の広告施策と異なる点として、このリーチは今現在も伸び続けているところにある。コンテンツを軸とするこのマーケティング手法は、質の良いコンテンツを一度つくればストックとして残り続け、TikTokのアルゴリズムで新たなターゲットにリーチし続ける。

「この循環を生むために、最も重要なことは、プラットフォームの中で高い評価を得られるコンテンツ=『ユーザーが見たくなるコンテンツ』を制作すること。その為には、日々変化し続けるプラットフォームのアルゴリズムや、ユーザーの嗜好性、トレンドの変化を常にキャッチアップし続ける必要があります。ただし、それを企業の担当者のみで全てやり切ることには限界があり、ここがプラットフォームを主戦場として戦うプロのクリエイターとタッグを組むポイントのひとつだと考えています」(中矢氏)

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クリエイター集団GOKKOの強みは自らもコンテンツを作り、チャレンジを続けていること

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その点、今回パーソルHDを支援したGOKKOは、プラットフォーム特性に合わせたコンテンツ制作に強みを持つクリエイター集団だ。現在所属する30名ほどのメンバーのほとんどがクリエイターとしてコンテンツ制作を行なっており、自社のアカウントから日々TikTokの縦型ショートドラマを公開している。GOKKOの強みは、自社アカウントの運用を通じてプラットフォームの特徴をつかみ、変化を続けるトレンドを常に「自分ゴト」として受け止めていることにある。TikTokでは「面白い」コンテンツでなければ見られることはない。ただ、その「面白さ」や、見られる動画の構成要素のトレンドは日々刻々とゆらいでいるのだ。

「当社は『見られる』コンテンツであることを大前提にクリエイティブファーストでコンテンツを作っています。TikTokをはじめとするSNSはスピード感も重要。今流行っているからといって参考にしても発信時には、もうそれは古いなんてことも。一般的なSNSマーケティングのコンサルとの違いは、私たち自身がユーザーとしてチャレンジし、コンテンツや運用に関する最新の知見を日々更新、蓄積していること。だからこそ経験をフィードバックしながら『狙ってバズる』コンテンツを作ることができます」(中矢氏)

また、このようなコンテンツマーケティングを進める場合、企業側とクリエイターがどのような役割分担でプロジェクトを進めていくかに関して、GOKKOでは以下のように整理し進めていくという。

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企業のコンテンツ制作において重要となるのは、ターゲット設定。GOKKOはターゲット層が普段閲覧している動画の傾向に合ったクリエイターをアサインする。次に、ターゲットがなぜコンテンツを見ているのかを分析し、クライアントと共にインサイトを抽出していく。企業が届けたいメッセージや価値を、インサイトに響く形でいかにコンテンツ化するか、という形で制作は進められる。

「制作過程で大事な視点は、メッセージベースでコンテンツを作るのではなく、コンテンツの中にメッセージを乗せる感覚です。パーソルHDさん の例で言えば『はたらいて、笑おう。』というドラマを作るのではなく、仕事をテーマにした面白いドラマを作った上で、視聴したあとの読後感としてメッセージを想起してもらえることが理想です」(中矢氏)

中矢氏はまた、コンテンツにメッセージを乗せるためには「翻訳」が必要だと指摘する。クライアントとなる企業と、クリエイターの間で意識をすり合わせる。これは企業側がプラットフォームや「面白さ」への理解を深めることだけではなく、クリエイター側も企業やブランド、乗せるべきメッセージを理解することも含まれている 。

TikTokの縦型ショートドラマはまだ日本国内での企業の活用例は少ない。しかし今回のパーソルHDのように、目的やターゲット、メッセージを明確に設定できれば、想定以上の成果を得られることがわかった。そして、その成功をサポートする存在として、企業側のマーケティングについての理解も深めながら、自らも常にクリエイターとしても挑戦を続けるGOKKOのような集団も登場している。企業のマーケティング活動において、今後若年層向けのアプローチが求められるとき、今回のような縦型ショートドラマやTikTokの活用含めたコンテンツマーケティングの取り組みは十分検討に値するのではないだろうか。

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株式会社GOKKO 執行役員 ビジネス部門統括
中矢啓樹(hiroki.nakaya@gokkoclub.jp)
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