広告市場においてはインターネット広告が今も成長を続けている。その一方で、近年はマスメディア企業のDXの強化、それに伴う新たな広告商品の開発が進んでいる。大手マスメディア企業の広告営業の戦略とは? 民放連加盟ラジオ放送局全99局が参加する「radiko」の広告営業戦略から、ラジオメディアの広告DXの方向を聞く。
※本記事は月刊『宣伝会議』2023年10月号に掲載の「メディア企業に聞く広告営業戦略」記事を転載したものです。
ADIDやIDFAに紐づいて位置情報データを収集
インターネット経由でラジオ放送が聴取できるラジオ配信プラットフォームのradiko(ラジコ)。民放連加盟ラジオ放送局全99局が参加しており、各局のコンテンツを楽しむことができる。月間アクティブユーザーは850万~900万人で40代、50代の男性ビジネスパーソンの利用が多くなっている。
そんなラジコの広告商品は、従来のラジオCMにはないデジタルアドとしての特性からこれまでにラジオを使ったことのない企業の活用も進む。同社では2018年よりラジコオーディオアドの実証実験配信を開始し、2023年6月時点で410社以上の広告主が出稿。業種は自動車・カード会社・メディアなど多岐にわたる。
「ラジコは地上波ラジオのIPサイマル配信サービス。しかし、ラジコオーディオアドではユーザーごとにラジコDMPを活用した独自のターゲティング広告配信を行っている。また、音声広告と同時にバナーを表示してサイトに誘導することも可能となっている」と同社ビジネス推進室長の五十嵐渉氏は述べる。
現在、ラジコの広告メディアセールスは、広告会社と一体になった体制を築いており、社内では6~7人のメンバーが開発とセールスに携わっている。今期から組織強化のため、アドに特化した営業要員の拡充をしているところだという。最近は、これまでラジオに広告を出稿していなかったデジタル系の企業が参入するケースも増えている。
五十嵐氏はラジコオーディオアドの強みとして、放送エリアに準じたコンテンツ聴取を行うサービスの特性上、位置情報の許諾が必要であることから、位置情報データがADIDやIDFAに紐づいて収集できている点を挙げる。「スポンサーのターゲットに実行動データに基づき明確に当てることができる」(五十嵐氏)という。
テレビはTVerが好例だが、インターネットを通じたキャッチアップ動画の視聴が伸びている。それに合わせて、ネット配信サービスにおけるデジタル動画広告の市場も伸びてきた。
「こうした動きに比べるとラジオ局由来のデジタルオーディオアドの市場は、まだ遅れている」と五十嵐氏。さらに同氏は、「質の良いユーザーデータを活かすことで、デジタルオーディオアドは従来のラジオや音声広告以上に市場規模を拡大していく可能性があると思う」と続ける。
最後に五十嵐氏は「デジタルオーディオアドだと、データに基づき精緻なターゲティングや効果検証が可能である点など、まだ知られていない特性が多くある。さらに、ラジオ各局が制作・配信しているラジオ放送以外の魅力的な音声コンテンツ(ポッドキャストなど)もたくさんあるので、これらの配信及び新たな広告商品の開発も行っていきたい」と今後の展望を語った。
radiko
ビジネス推進室長
五十嵐 渉 氏
2021年4月よりradikoに参画。ラジコアド事業や、ラジオ業界のデータ基盤構築など、音声広告ビジネスのDXを推進。また、マーケティング・プロモーション領域や、プロダクト/サービス開発などラジコの事業推進全般に従事。
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