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広報計画を立てる上で今一度押さえておきたい、新たな「広報の定義」

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2024年の広報計画を立てる上で、今一度確認しておきたいのが「広報のあるべき姿とはどのようなものか」という根本の部分だ。その道しるべとなるのが、2023年6月、日本広報学会が発表した新たな「広報の定義」。「広報の理想のあり方」を考える上でも、定義文にじっくりと目を通したい。

テキスト 2023年6月、日本広報学会が発表した新たな「広報の定義」

定義の公開後、学会員や実務者等の業界関係者から、多くの声が寄せられた。一例として、「広報を『経営機能』と言い切ってもらえたことはありがたい」という意見や、「経営機能としての認識が組織の中で広がることで、広報に対する評価や期待の高まりに繋がると思う」といった意見だ。

同学会では、本定義は他の定義を否定したり、広報の実務を制限したりするものではない、としている。広報のあるべき姿を定義として共有することで、より議論が活性化することを目指しているのだ。また2023年11月1日には「新たな広報の定義」に関するシンポジウムを東京で開催し、「広報の定義」をいかに実務へと展開していくかについて議論がなされた。

写真 人物 個人 上智大学准教授・国枝智樹氏
シンポジウムの第一部で講演する上智大学准教授・国枝智樹氏。国枝氏は、「新たな広報概念の定義」プロジェクトにおいてプロジェクトリーダーを務め、広報の新たな定義の決定に携わった。国枝氏は「定義は作るだけでは意味がない。業界の中で共有・引用されて、共通の認識にしなければならない」と語った。シンポジウムには学会員以外も参加可能で、対面およびオンラインの会場で計200名以上の広報関係者が参加していた。
写真 人物 複数 ローソン常務執行役員・楯 美和子氏(写真左) 社会構想大学院大学教授・白井邦芳氏(写真中央) 千代田区広報広聴課統括課長・林 利夫氏(写真右)
シンポジウム第二部のパネルディスカッションでは、東京都市大学准教授・北見幸一氏がモデレーターを務めた。パネリストは、国枝氏に加えてローソン常務執行役員・楯 美和子氏(写真左)、社会構想大学院大学教授・白井邦芳氏(写真中央)、千代田区広報広聴課統括課長・林 利夫氏(写真右)が参加した。

シンポジウムのパネルディスカッションでは、「新たな広報概念の定義」プロジェクトにおいてプロジェクトリーダーを務めた上智大学准教授・国枝智樹氏が、「広報の定義についてしっくりきているか?」と質問。ローソン常務執行役員・楯 美和子氏は「『経営機能』という定義には非常に納得感がもてる。『社会的に望ましい関係を構築・維持する』という部分も的を射ていると思った。広報は、企業の常識や文化によって利益を得るための目線になりがちだが、新たな定義によって広報部門としての機能が明確になり動きやすくなる」と語った。

また、社会構想大学院大学教授・白井邦芳氏は「『経営機能』と定義したことで、広報の位置づけの認知が大きく変わると思う。企業の経営により深く関われるようになることが期待される。また、リスクマネジメント活動やコンプライアンス活動と言わなかったところも簡素で理解しやすいと思った」「定義自体は、実務経験を踏まえ網羅されていると思うが、組織体制等の定義を実行するために必要な要件や実務基準については述べられていないことが気になった」と言及。

また千代田区広報広聴課統括課長・林 利夫は、「組織とステークホルダー間のコミュニケーションは、1対1だけでなく、2者以上で行われることが重視されると考えている。『双方向』ではなく『相互』とするのが妥当ではないか」と指摘した。

これに対して国枝氏は「社会とともに複雑化していくコミュニケーションに対して定義を活用することで、国内の広報・コミュニケーションのさらなる発展につなげていけたら」との展望を示している。

最新定義をもとに、自社の広報の現場を改めて見直してみると、どのような気づきが得られるだろうか。広報とは何かに立ち返ることは、望ましい広報のあり方を探究することにつながるはずだ。

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