不動産デベロッパーの東京建物と読売広告社、東京建物の100%子会社で商業施設の運営を行うプライムプレイスの3 社は、6月2日付で新会社WonderScape(ワンダースケープ)を設立した。大型デジタルサイネージによる広告事業やイベント運営などを手がける。東京建物グループのまちづくりと読売広告社のプロモーションやメディア運営のノウハウを組み合わせて、事業領域を拡大していく。
新会社は東京建物が56%、読売広告社が34%、プライムプレイスが10%を出資する。社長には神保健・東京建物取締役専務執行役員が就任した。公共空間をメディア化し、都市における新たな付加価値を創出する「空間メディア事業」を開始する。大型デジタルサイネージの開発・運用やデジタルサイネージと連動したリアルイベントなどを実施することで、来街者の体験価値を向上させ、まちのにぎわいや価値向上を目指す。
ワンダースケープはデジタルサイネージの設置場所をスペースオーナーから借り使用料などを払うとともに、サイネージを活用する企業から広告収入を得る。企業のプロモーションや自治体による情報発信などの需要を見込む。
左から順に、プライムプレイス 代表取締役社長執行役員 川村崇氏、WonderScape代表取締役社長(東京建物 取締役専務執行役員)神保健氏、読売広告社 代表取締役社長 菊地英之氏
「東京建物グループの中期経営計画で2030年に向けた長期ビジョンとして“次世代デベロッパー”を目指すことを掲げている。従来まちづくりといえばハード面の整備だったが、近年ソフト面の拡充に移ってきている。都市空間を多様なヒト・モノ・コトとの出会いの空間にしていきたい。そのために都立明治公園のPark-PFIで一緒になった読売広告社とタッグを組み、都市空間に新たな付加価値を生んでいく」とワンダースケープ代表の神保氏。
都内で同日開催した記者発表会では、空間メディア事業の第一号案件となる「大手町タワービジョン」の事例が紹介された。大手町タワーは、東京建物が開発したオフィス、ホテル、商業ゾーンなどからなる複合施設であり、地下鉄5路線が乗り入れる「大手町」駅に地下連絡通路で直結する地下2階の広場空間「森のプラザ」は、周辺オフィスワーカーなどで終日にぎわい平均約6万人/日が通行する。「森のプラザ」に隣接する地下連絡通路上部空間に約300インチの大型デジタルサイネージ「大手町タワービジョン」を新設。今後、広場空間「森のプラザ」でも連動したプロモーションイベントを実施していく。すでに東京都やビルテナントの花屋などが活用している。
大手町タワービジョンでは、コンデナスト・ジャパン社の『VOGUE』『GQ』などのコンテンツを放映開始。また障害のある作家が描くアート作品をIPライセンスとして管理するヘラルボニーとも協業予定。アート作品や作画風景などを放映する予定だ。