東急不動産が主催する「渋谷合同入社式 2026」が4月13日に渋谷ヒカリエホールで開催された。サイバーエージェント、ディー・エヌ・エー(DeNA)、MIXI、Sansan、ワンキャリア、アソビシステム、レコチョク、渋谷区役所、渋谷未来デザイン、東急グループ各社など渋谷を拠点にする38社から約400人の新入社員が集結し、「ご近所同期」として企業の垣根を越えた交流を深めた。本イベントは、同社が推進するコミュニティアプリ「SHIBUYA MABLs(マブルス)」を基軸とした、渋谷という街への愛着(シビックプライド)を育むための施策の一環である。
「建物」から「関係性」へ、東急不動産が描く新たな渋谷の姿
東急グループは、渋谷駅から半径約2.5キロメートルのエリアを「広域渋谷圏」と定め、注力エリアとしてまちづくり戦略を推進している。その中で、従来の建物を建設・運営するハコモノ・ハード面中心の開発思想から一歩踏み出し、ソフト面での価値創造に大きく舵を切った。その中核を担うのが、2024年8月に正式リリースされたコミュニティアプリ「SHIBUYA MABLs」である。渋谷エリアでのチェックインでポイントが貯まり提携店舗で利用できる「お得」な機能と、イベントやフレンド機能を通じて利用者同士がつながる体験を提供する。
この取り組みの背景には、渋谷を中心に開発するデベロッパーとしての中長期的な思想があると、SHIBUYA MABLs事業責任者である、東急不動産 渋谷事業本部 価値創造グループの大西里菜氏は語る。建物を建てるだけでなく、そこで過ごす人々の関係性を育むことで、渋谷という街自体に愛着を持ってもらう。それが結果として「わざわざ渋谷で働きたい、遊びたい」という動機につながり、同社のオフィス事業や商業施設事業にも還元されるという考え方だ。
大西氏は、「建物を中心に人を集めるのではなく、まず渋谷に関わる人々をつなげる。その関係性を作っているのが東急不動産であり『MABLs』であると認識してもらうことで、結果として私たちのアセットに価値が返ってくる」と、事業の位置づけを説明する。この思想を具現化するため、同社では数年前に「渋谷事業本部 価値創造グループ」といった専門部署を設立し、建物以外の価値創造に本格的に取り組む方針を明確にしている。
広域渋谷圏(Greater SHIBUYA)のまちづくり(東急不動産サイトより)
なぜ「新卒」か。街との最初の接点をデザインする
「SHIBUYA MABLs」が展開する多様なコミュニティ施策の中でも、「渋谷合同入社式」は特に象徴的な取り組みといえる。そのターゲットを新卒、つまり社会人としてのキャリアを渋谷でスタートさせる層に定めたことには明確な意図がある。
大西氏によれば、渋谷は地方出身者の集合体ともいえるほど、多様なバックグラウンドを持つ人々が集まる街だ。しかし、それゆえに人の入れ替わりも激しく、多くのワーカーにとって街との接点は駅と会社の往復に限定されがちであった。特に新入社員は、慣れない環境で人間関係も社内に閉じやすく、街に愛着を持つきっかけを掴みにくい。

