ソニーが語るAI活用の現在地 PlayStation、映像制作、購買体験まで

ソニーグループは5月8日、2026年度の経営方針を発表した。十時裕樹CEOは、中期経営計画の最終年度を迎えるにあたり、エンターテインメント、コンテンツクリエイション、リアルタイム・クリエイション技術を軸にした成長方針を説明した。

IPの価値最大化する長期ビジョン「Creative Entertainment Vision」のもと、同社はテクノロジーによってクリエイターを支援し、リアルとデジタルの両空間で新たな体験を届ける姿勢を示している。特にAIについては、グループの成長に向けた「最重要テーマのひとつ」と位置づけた。

一方で、十時氏は「人のクリエイティビティが常に中心であるべき」と強調。AIはアーティストやクリエイターに取って代わるものではなく、人の想像力を広げるカタリスト(触媒)だと説明した。

制作現場に広がるAI活用

ソニー・ピクチャーズでは、制作期間の短縮とアウトプット拡大に向け、AIをはじめとする先進技術をワークフロー全体に展開している。制作計画、コンテンツ保護、業務効率化、データ分析、イノベーション、3DコンバージョンにおけるAI活用に、これまで5000万ドル以上を投資しているという。

2025年夏に戦略的業務提携を結んだバンダイナムコホールディングスとも、生成AIや最新テクノロジーの活用について試験的な取り組みを続けている。映像制作において、クリエイターが思い描く世界観を実現するため、多くのクリエイターや制作関係者と検証を進めてきた。その結果、制作の大幅なスピードアップや、一人あたりの生産性向上を確認したという。

一方で、生成AIの不得意領域も明らかになっている。特に課題として挙げたのは、制作現場が求める「表現や演出の意図を忠実に反映するための一貫性・制御性」の確保だ。ソニーは、複数の生成AIモデルの使い分けに加え、既存技術や特定の作風を表現する独自チューニング技術を組み合わせることで、現実的な解決案を蓄積している。

今後は、生成AIとソニーが得意とする音響、映像処理、空間・CG技術を統合し、クリエイターが安心して使えるセキュアな制作基盤の確立を目指す。

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