「広告も『見せられるもの』ではなく、楽しむコンテンツであってほしい」—ゲームクリエイター育成に携わる、吉冨賢介さんの「私の広告観」出張所

月刊『宣伝会議』では、社会に大きな影響を与える有識者が、いまの広告やメディア、コミュニケーションについて、どのように捉えているのかをインタビューする企画「私の広告観」を連載中。ここでは「私の広告観 出張所」として、インタビューの一部をお届けします。
 
今回登場するのは、約20年にわたりゲーム制作の第一線でプランナーやプロデューサーとして活躍し、現在は日本工学院八王子専門学校で後進の育成に携わる吉冨賢介さん。人を夢中にさせる「体験」を設計し続けてきた吉冨さんに、ゲームづくりと広告に共通する発想や、いまの広告コミュニケーションに期待することについて話を聞きました。
 
※本記事の全文は、月刊『宣伝会議』10月号に掲載されています。

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吉冨賢介さん

日本工学院八王子専門学校デザインカレッジゲームクリエイター科科長。1972年生まれ。大阪大学文学部卒業。コナミデジタルエンタテインメント入社後、PlayStationからスマートフォンに至るまでプランナー、シナリオライター、ディレクター、プロデューサーとして20年に渡り多くのゲーム制作に携わる。日本工学院八王子専門学校では後進の育成に従事、多くの人材をゲーム業界に輩出している。教壇に立つかたわら、ゲームシナリオライターとしても活動。著書に『ゲームプランナー入門アイデア・企画書・仕様書の技術から就職まで』(技術評論社)。宣伝会議「ゲームプランナー入門実践講座」の講師も務める。

Q.長年ゲーム業界の第一線で制作に携わり、現在は教育の場で後進を育てられています。クリエイターの発想力を養う上で、日常の「広告」をどのように捉えていますか。

授業では学生に過去のテレビCMを見せて、「なぜこの言葉を使っていると思う?」と投げかけることがあります。一見見過ごしてしまいそうな表現や小ネタに気付けるかどうかが重要なんです。

大量の情報に触れる時代だからこそ、ただ受け流すのではなく「なぜこうなっているのだろう」と考えて見ることがクリエイターに必要な姿勢です。ゲームの隠し要素や小ネタに気付くことと、広告の意図を読み取ることは、本質的に「考えて見る」という同じ体験から始まっていると思っています。

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吉冨さんの著書『ゲームプランナー入門アイデア・企画書・仕様書の技術から就職まで』(技術評論社)。ゲーム企画などを担う「ゲームプランナー」になるための入門書。ゲームづくりの現場の知識から、発想術や企画術まで完全カバー。プロが教える仕様書、企画書の技術など実践的な内容も収録している。

Q.ゲームづくりにおける「体験の設計」という視点は、広告マーケティングにも通じる部分がありそうです。

人がゲームを「もう一度やりたい」と感じるのは、成功したときの心地よさがあるからですが、そこには「失敗」の体験も含めた設計が欠かせません。そして一番の特徴は「プレイヤーが介在できること」。自分で選択し、行動した結果として体験が変わる余地をつくることが面白さにつながります。

ただ世の中の流行を追うだけでなく、そこに「もうひとつ何を乗せれば面白くなるか」を考える。そうした流行を捉えつつ独自のアイデアを加えていく発想は、まさに広告やマーケティングの企画づくりと全く同じだと感じます。

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