【前回までのお話】
ASEAN各国のリーグとの提携を進めながら、(1)露出拡大、(2)現地での活動、(3)ASEANのスター選手の獲得という3つのアクションプランを同時並行、かつスピーディーに実行する。そうすることで、JリーグはASEANにおける存在感を急速に高めていきました。なかでも、Jリーグのテレビ放送をもっと多くの人に見てもらいたいとの思いから、力を入れたのがASEAN各国のスター選手の獲得。その実現が、サッカー界のみならず、政治・経済の世界にも思わぬ効果をもたらすことになりました。
>連載1回目 「20周年を迎えた、Jリーグ アジア戦略の仕事とは?」
>連載2回目 「アジアへの第一歩!Jリーグ、カンボジア&タイへの旅」
>連載3回目 「Jリーグ アジア進出プロジェクト本格始動!各国政財界の大物に会う」
>連載4回目 「Jリーグのノウハウ、タダで提供します!」
>連載5回目 「Jリーグがアジアで人気者になるための3つの戦術」
ASEANのスター選手がもたらす効果とは?
アジア戦略を進めていく中で、ASEANにおけるメディア露出拡大、現地での活動とともに進めたのが、ASEANのスター選手の獲得でした。現地のスター選手がJクラブに加入するとどうなるか?
現地での放送が増えることで、
(1)既存スポンサーにとってのJリーグの価値が向上する、
(2)新規スポンサーの獲得につながる、
(3)観戦ツアーを実施することによる地元への経済効果など、
さまざまなメリットが想定されます。
そこで実際にプレーを視察したり、現地からの情報収集などを通じて、国民からの注目度が高い各国代表の中心選手の情報を集め、Jクラブへ提供していきました。
最初に選手獲得に動いたのがJ2のコンサドーレ札幌(以下、コンサドーレ)。コンサドーレは2012年度決算で赤字となり、スポンサーセールスでも国内・道内以外に、新たな一手を打ちたいと考えていました。

レコンビン選手の移籍会見は、現地のトップニュースとして報道された。
※レコンビン選手は、2014シーズンはコンサドーレでプレーしないことになった。
目をつけたのは、ベトナムの英雄と呼ばれるスター選手・レコンビン。ベトナム代表31ゴール、国内リーグで年間MVPに3度輝いたことに加え、奥様も有名な歌手ということで、ベトナムで非常に人気が高い選手でした。札幌はこのレコンビン選手を獲得することで、ベトナムでの露出拡大、影響力の向上を狙いました。