春商戦を前に始まったahamoの大規模攻勢
「ahamo」は申し込みから契約後のサポートまでをオンラインで対応するプランで、「30GBで月額2970円(税込)」というシンプルな料金体系が特徴。プラットフォームやSNS経由の動画視聴が広く普及した今、「ギガを気にせず、ドコモ品質の回線を使い倒せる」という安心感で、当初のメインターゲットだった若年層をはじめ、オンラインでの手続きに抵抗がない40代・50代にも支持を広げている。
一方で、通信業界の競争は激化の一途をたどっている。競合が巨額の投資を伴いシェア拡大を図る中、ahamoもまた、新生活が始まる春の商戦期に向けて新規ユーザーの獲得拡大が至上命題となっていた。
NTTドコモでデジタルマーケティングを担う森川七瀬氏は「テレビCMなどのマス広告で認知を広げつつ、Web広告ではダイレクトレスポンス、つまり獲得を最重要視しています。私たちのミッションは、両者をつなぎフルファネルで効果を最大化しつつ、顕在化した需要を掘り起こしていくこと。そこで、これまでにない規模での投資を決断しました」と語る。
NTTドコモ マーケティング推進部 コンシューママーケティング推進室 デジタルマーケティング担当主査 森川七瀬 氏
グローバルDAU29億でリーチとコスパを両立
この「これまでにない規模」での拡大要請に応えるために選ばれたのが、「Pangle」だった。
Pangleは、TikTok for Businessが提供するアドネットワークだ。TikTok以外の多種多様な提携アプリ(マンガ、ゲーム、ツール、生活系アプリなど)に広告を配信できるプラットフォームで、グローバルDAU(1日のアクティブユーザー数)は29億を超える※。
※ Pangle調べ(2026年1月時点)
TikTok for Business Japanの有馬由祐氏は、Pangleの特徴について次のように説明する。
「TikTok広告マネージャーから一元管理できる利便性に加え、独自の機械学習による高精度なターゲティングが強みです。没入感の高い縦型全画面動画など多彩なフォーマットを持ち、TikTokだけではリーチしきれない層も含め、圧倒的な在庫規模でアプローチできるのがPangleの最大の特長です」
縦型動画をメインに様々なアプリやWebサイトに広告配信が可能。グローバルDAUは29億超と規模の大きさも魅力
ドコモでは以前からPangleへの出稿を行っていたものの、規模は限定的だった。しかし、圧倒的な件数を獲得するためには、検索連動型広告や主要SNS広告だけでは限界がある。そこで森川氏が着目したのが、CPCやCPAを抑えながらも、膨大なトラフィックを生み出せるPangleのポテンシャルだった。
「Pangle経由でサイトへの流入を増やすことで、直接的な獲得はもちろん、検索数の増加にも貢献していることがデータから見えていました。低単価で多くのユーザーにahamoの特性を知ってもらえるこのチャネルを伸ばさない手はないと考えました」(森川氏)
出稿額が倍増も、CPAを維持する「勝ち筋」
本格的な運用が始まったのは2025年10月。そこから月々の出稿額は倍々のペースで増えていき、2026年2月には注力前の2025年9月の7倍という規模にまで達している。通常、広告の出稿量を急激に増やせばCPAは高騰しがちだ。しかし、この「量と質の同時追求」を実現したのが、運用を担う電通デジタルとの取り組みによるクリエイティブ改善だ。
電通デジタルの高橋佑介氏は、当時の状況について「森川さんからオーダーをいただいたとき、正直、通常の運用セオリーでは対応しきれない規模だと感じました。そこでTikTok for Businessの有馬さんと議論を重ね、Pangleのプラットフォーム特性に特化したクリエイティブの『選択と集中』、そして『量産』のサイクルを高速で回すことに注力しました」と振り返る。
電通デジタル パフォーマンスマネジメント4部 グループマネージャー 高橋佑介 氏
幅広い層にリーチできるということは、裏を返せばユーザーの嗜好も多種多様であるということ。「『勝ち』の訴求は一つではない」と考えた高橋氏らは、まず「シンプルさ」「価格」「通信品質」といった複数の訴求軸を用意し、並行して検証を実施。その中で特に反応が良い「勝ちパターン」を特定していった。今回、特に成果を上げたのが「料金訴求」だったという。
「勝ちパターン」となった料金訴求をテーマにしたUGC風クリエイター動画の例
「ahamoの最大の特長である、シンプルな料金設定とコストパフォーマンスの高さについてクリエイターが語るUGC風の動画が、非常に高いパフォーマンスを記録しました。この『勝ちパターン』が見つかってからは、同様の構成のクリエイティブを量産し、一気に出稿量を増やしていきました」
有馬氏も、プラットフォーム側の視点から連携の重要性を補足する。
「Pangleは配信面が多岐にわたるため、一つのクリエイティブに頼りすぎるとすぐに摩耗してしまいます。高橋さんには、効果の良い訴求軸をベースに、常に新しい素材を供給し続けていただきました。入稿作業や審査など、相当な工数を要しましたが、そのスピード感が今回の拡大を支えたと考えています」
TikTok for Business Japan, Global Business Solutions-Telco, Client Solutions Manager 有馬由祐 氏
獲得件数12倍を実現した「信じて任せる」チームワーク
今回のプロジェクトの成功を語る上で欠かせないのが、3社の強固な信頼関係だ。通常、プラットフォーマー、広告会社、広告主はそれぞれが受発注の関係にあり、広告会社が間に入ることで情報伝達にタイムラグが生じることも少なくない。しかし今回は、3社が同じチャットグループに入り、リアルタイムで議論を交わしながら進行したという。
「正直、ここまで大規模な配信をした経験は社内の誰も持っておらず、どう伸ばせばいいか未知数でした。プロダクトと広告運用のプロフェッショナルである皆さんと議論しながら一緒に進めていき、有馬さんからは『ahamoならこういう設定が良い』と、データから見える一歩踏み込んだ提案をいただき本当に助かりました。高橋さんもその提案を柔軟に取り入れ、我々の『もっと件数を取りたい』という要望に『やりましょう』と即答してくれました。お二人がいたからこそ、ここまで踏み込むことができたと感じています」(森川氏)
このチームワークが生み出した成果は、数字としても表れている。注力前の2025年9月と直近の2026年2月を比べると、コストは7倍ながら獲得件数は約12倍に伸長。それでいて、CPAはむしろ安価に抑えられているという。
高橋氏は、Pangleの貢献は直接的なCV(コンバージョン=獲得)だけではないと分析する。
「Pangleは多様なアプリに配信されるため、ユーザーとの接触地点が非常に多いです。ゲームやマンガアプリを利用する中で、認知から興味関心、そして購入まで、ファネルの各段階をPangle一つで何度も後押しできます。最終的なCVに至るまでの“態度醸成”の役割も大きいと感じています。勝ちパターンは見つかりましたが、それに安住せず、常に新しい訴求を探し続けたいですね」
認知から態度変容、コンバージョンと、様々なニーズに対応する
今後は、さらなる拡大に向けて新しい入札戦略の導入や、リテンション(継続率)施策との連動も視野に入れている。
「Pangleは、今やahamoの獲得において欠かせないメインチャネルの一つになりました。今後は獲得だけでなく、認知のリフトアップ効果なども分析し、テレビCMなどのマス施策とも連動させていきたいと考えています」(森川氏)
「ただ広告枠を売るのではなく、どうすればクライアント様の事業課題を解決できるか。ドコモ様の事例はPangleのポテンシャルを最大限に引き出せた好例になりました。今後も新しい機能や仕様をいち早くクライアント様のニーズに沿った形でご提案し、さらなる事業拡大に貢献したいです」(有馬氏)
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