今年度版の白書から見えてくるのは、情報メディア産業を個別分野ごとに見るだけでは捉えきれない、IPを起点とした市場の広がりだ。マンガや小説など出版発のコンテンツがアニメ化、映画化、ゲーム化され、動画配信、ライブイベント、EC、海外市場へと展開する流れは、すでに一部のヒット作に限られた現象ではなくなっている。
マンガは出版市場の約45%、IP創出の起点に
出版分野では、電子のマンガ単行本、いわゆるデジタルコミックを中心に電子出版市場が急速に伸びている。2024年の出版市場は1兆5716億円で、紙の市場が約1兆円、電子市場が5600億円余りとなった。ジャンル別では「マンガ」が約7000億円と最も大きく、市場の約45%を占めている。
白書では、出版産業発のコンテンツがアニメや映画などの良質なコンテンツの源泉として重要な役割を果たしてきたことが読み取れる。近年では、日本発IPとして海外における文化発信や消費拡大に寄与し、インバウンド需要を牽引する存在としても重要性が高まっている。出版は紙や電子書籍の市場にとどまらず、他分野へ展開するIPの“原作供給源”としての意味合いを強めている。
アニメ市場は4113億円、海外市場は初の2兆円超え
IPの展開先として存在感を増しているのがアニメだ。2024年のアニメ市場規模は4113億円で、前年比107.1%となった。地上波アニメの放送枠拡大や、動画配信サービスにおける作品数の充実が市場拡大に寄与している。アニメ製作・制作会社の売上高の内訳では、「海外」が構成比25.5%の1185億円となり、売上高全体の4分の1を占めた。
さらに、日本アニメの海外市場は2024年に2兆1702億円、前年比126.0%となり、初めて2兆円を超えた。白書では、世界各国・地域の動画配信サービスの成長が日本アニメの需要を牽引していると分析している。放送コンテンツの海外輸出額でも、アニメは2023年度に全体の約9割を占めており、日本発コンテンツの海外展開における中核になっている。
映画市場もアニメIPが下支え、邦画は1500億円超え
劇映画・映像ソフト分野でも、アニメIPの存在感は大きい。2024年の劇映画市場は2070億円で、前年比93.5%となった一方、邦画市場は1558億円、前年比105.1%と好調だった。邦画単体で1500億円を超えるのは初めてだという。
白書では、2024年の劇映画市場について、興行収入が100億円を超えるシリーズアニメ作品などに引き続き支えられていると分析。劇場用アニメの2024年の推定興行収入は903億円で、100億円を突破した作品が2作品あったほか、シリーズ作品も堅調に推移した。
映像ソフト市場では、配信が成長を牽引している。2024年の映像ソフト市場は8276億円で、このうち有料動画配信市場は6499億円。全体の8割弱を占める規模となった。アニメ配信市場も2024年に2508億円まで拡大し、映像ソフト配信市場に占めるアニメの割合は47.5%に達している。



