その自治体×IPコラボは本当に「失敗」か? 失敗と成功から真に学ぶべきこと

近年、コンテンツやIPとコラボしたコンテンツツーリズムで観光客誘致を狙う自治体が増加している。しかしその裏側には、「思ったような成果につながらなかった」「コラボしたことによって、むしろ自治体とファンの関係が悪化してしまった」という事例も存在する。しかし、その事例は本当に失敗と言ってしまってよいのだろうか。解決策が存在していれば、大きな成功に結び付いた可能性も捨てきれない。本記事では、聖地巡礼に関する研究を行う近畿大学 総合社会学部 教授の岡本 健氏に、成功事例と失敗事例を比較しながらその要因を振り返ってもらった。

※本記事は月刊『販促会議』2026年11月号「コンテンツ・IPが動かす地域経済」特集の転載記事です。こちらの全文や他記事は、月刊『販促会議』2026年11月号本誌、「販促会議デジタルマガジン」にてお読みいただけます。

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岡本 健氏

近畿大学
総合社会学部 教授

本題に入る前に、1つ注意があります。それは、コンテンツツーリズムについては、成功と失敗を簡単に断じることはできないということです。特に、失敗と断じることには慎重になる必要があります。

過去にはインターネット上の言説やマスメディアによる報道などによって、事実と異なる「失敗」イメージを植え付けられた事例があります。そのような表面的な情報を信じて企画を立てたり、今後の施策の判断を行ったりするのは、実に恐ろしいですよね。

プロフェッショナルである読者の皆さまは、「その先の情報」を収集してこそだと思います。コンテンツツーリズムには、様々な関与者がおり、考えるべき項目も多い。それぞれが複雑に絡み合っています。作品によって、地域によって、時期によって、その状況は大きく異なり、既存のコンテンツツーリズムの取り組みを真似すれば同様の成果が得られるわけではありません。

失敗をどう定義するか
重要なのは事実ベースの評価

私が調査した事例の中で、初期に最もインパクトがあったのは、2007年に放送されたアニメ『らき☆すた』の舞台になった埼玉県鷲宮町です。アニメの背景を見たファンが場所を特定して訪れ、現地の様子をブログやWebサイトで発信し、それを見た他のアニメファンが訪れ……という連鎖が生まれていました。地域とコンテンツ・IPホルダーとファンが連携して様々な取り組みを実施し、大きな話題となった事例です。

その後も、『ガールズ&パンツァー』と茨城県大洗町の取り組みは、観光庁から表彰されるに至ったり、『ラブライブ! サンシャイン!!』の静岡県沼津市の取り組みではファンの移住が促進されたりと、いわゆる“成功例” がたくさんあります。それでは失敗例はどうでしょうか。

こちらは冒頭の通り、判断が難しいものです。しかし、コストを過剰に投資してそれに見合ったリターンが得られなかった場合を「失敗」とすることはできるでしょう。例えば、これから放送される予定のオリジナルアニメに、ある地域が登場する場合、放送前からその作品にまつわる記念館を数十億円かけて建設したとします。しかし放送後、アニメの視聴率がふるわず、その後数十年間にわたって赤字を計上し続ける施設が誕生する……。

これは避けたい状況です。結局のところ、何を目標にどれだけコストをかけて、その結果、何が得られたのか。ビジネス的な成功と失敗については、この部分を事実ベースで評価することこそが重要です。

問題はどこでも起こりうる
そのとき、どう対策するか

次に、よく話題になる失敗について考えます。まず「オーバーツーリズム」ですが、これはコンテンツツーリズム特有の問題ではなく、地域のキャパシティ以上に旅行者が訪れる場所ではどこでも起こる問題です。……
 
※本記事は月刊『販促会議』2026年11月号「コンテンツ・IPが動かす地域経済」特集の転載記事です。こちらの全文や他記事は、月刊『販促会議』2026年11月号本誌、「販促会議デジタルマガジン」にてお読みいただけます。

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