米ニューヨーク・タイムズ紙は9月、モバイル向けの新たなネイティブ広告を始める。「モバイル・モーメンツ」との名称で、時間帯に応じて内容を変え、読者の状況にターゲティングした広告を配信する。広告主企業の数についてタイムズ紙広報は非開示としたが、すでに何社か出稿を決めているようだ。米調査会社コムスコアは2015年6月、無料会員を含むモバイル読者数を3930万人と推計した。
「どのような記事が、いつ求められるか」について、スマホアプリ読者などの閲覧状況を数カ月間にわたって調べた。この結果を元に広告コンテンツを、「1日を始める準備」「見逃したトピックス」などと7つに分類して配信する。コンテンツは、社内の制作部署「Tブランド・スタジオ」が手がける。
電子版の広告収入は、印刷版の収入源をカバーできておらず、モバイルの収益化に期待がかかる。2015年4~6月の広告収入全体は、前年同期比5.5%減の1億4900万ドル(182億8400万円)。全体の32.5%を占める電子版の広告収入は同比14.2%増の4830万ドル(59億4300万円)と伸びた一方、印刷版は同比12.8%減となった。電子版はモバイル向け広告やペイド・ポスト(広告記事)、動画広告が好調だった。
電子版の購読者数は当四半期で3万3000人増え、6月末時点で99万人に。7月末現在で100万人に到達した。電子版のみの購読料収入は4750万ドル(58億4400万円)で、前年同期比13.8%増。
総収益は、前年同期比1.5%減の3億8300万ドル(約471億1000万円)。制作費や販管費などのコストを削減した結果、収益力を表すオペレーティング・マージンは9.9%となった。リストラ関連費用を除いた前年同期と比べ、3.2ポイント改善した。四半期純利益は、同比78.5%増の1640万ドル(20億1800万円)だった。
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