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愛媛発、「世界に通用するギフト」をめざす

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株式会社宣伝会議は、月刊『宣伝会議』60周年を記念し、2014年11月にマーケティングの専門誌『100万社のマーケティング』を刊行しました。「デジタル時代の企業と消費者、そして社会の新しい関係づくりを考える」をコンセプトに、理論とケースの2つの柱で企業の規模に関わらず、取り入れられるマーケティング実践の方法論を紹介していく専門誌です。記事の一部は、「アドタイ」でも紹介していきます。
第6号(2016年2月27日発売)が好評発売中です!詳しくは、本誌をご覧ください。

【前回】「小売りをしない、ご当地日本酒を新潟観光の呼び水に—今代司酒造「新潟清酒おむすび」」はこちら

地域に根差す企業とクリエイターがパートナーとなり、新しい価値を生み出した事例を、手がけたクリエイターが自ら解説。今回は四国エリアの事例です。

愛媛県西条市に拠点を置くカラーズヴィルは、ガーゼマフラーやタオルなどを企画・販売する会社。親会社は、石鎚山系から湧き出る豊かな水を利用した染色業を営んでいます。

私がパッケージデザインをお手伝いしたのは「LIGHT GAUZE MUFFLER ZIPANGU COLOR(ライトガーゼマフラージパングカラー)」。日本の伝統色である五彩色を使った三重織のガーゼマフラーです。

紫外線を約90%カットし、吸水性・速乾性に優れオールシーズン使用できるうえ、家庭での洗濯も可能。同社が長年にわたって培ってきた染色加工技術を生かしてつくった商品です。

商品の柄が扇子の柄として現れるデザインで、五彩色のバリエーションを訴求する。

クライアントから求められたのは、国内外の観光客に訴求できるパッケージ。また、古代紫、藍色、草色、黄土色、エンジ色というカラーバリエーションを訴求するため、外から商品を見て、触れることができる適度な「穴」をつくる必要がありました。

そこで、メインビジュアルとして日本古来のシンボルである扇子をデザインし、そこに穴を空けました。商品の柄が、扇子の柄として現れるというわけです。

メインカラーには、「ジパング」をイメージさせる白・赤・金を使っています。中央付近には、日本の象徴である富士山、五重塔、東京タワーを金箔押しで配置。箱の素材は、ダンボールを合紙することでコストを削減するだけでなく、軽量で運搬にも優れた構造にしています。

ドットやチェックなどの柄を展開する「LIGHT GAUZE MUFFLER」や、「KOBEGAUZE MUFFLER」「GAUZE MUFFLERSTANDARD」といった別商品にも同様のデザインを採用しており、国内外のギフト需要に応えています。

良い商品デザインをするうえで重要なのは、まずクライアントとデザイナーとが、お互いの信頼関係を築くことだと思っています。地方では、商品にデザインを施して販売することの効果を認識していない企業も少なくありません。ですから、まずはデザインの効果を理解していただきたいと考えています。

初回のお仕事を受ける際には、商品と、それをつくる企業に対する理解度を深めるため、もちろん現場に伺います。現場で作業中の、クライアントが比較的リラックスした状況でお話を伺う機会を得て、積極的に質問するのです。

反対に、デザインへの理解度を深めていただくために、クライアントには、必ず一度はグランドデラックスのオフィスに来てもらうようにお願いしています。

地域ではデザインへの関心が低く、商品自体の質が良くても売れないものがたくさんあります。そんな中でも、クライアントからデザインの依頼があると、とても嬉しく思います。地域のデザイナーに求められるのは、「理屈抜きに良いデザイン」をすること。そういうデザインは人を動かす力があります。

松本幸二 Koji Matsumoto
グランドデラックス グラフィックデザイナー/アートディレクター

1977年高知市生まれ。愛媛大学理学部卒業。New York ADC Silver 、D&AD Bronze、Pentawards Silver など国内外で受賞。

CLIENT’S VOICE

アイデンティティを再構築するクリエイティブの力
クリエイティブの力を借りてアイデンティティを再構築することで、地域企業ならではの魅力を高めることができると考えています。松本さんは愛媛にいながらにして、世界のデザイン領域でも活躍している方。そのクリエイティビティを取り入れることで、当社商品もグローバル市場で戦えるようになると思いました。ローカルでありながら、世界のどこに出しても評価されるクリエイティビティを期待しています。


竹田昌弘 Masahiro Takeda
カラーズヴィル 代表取締役

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