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【第49回宣伝会議賞 審査員に聞きました④】

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現在、まさに審査が進行中の第49回宣伝会議賞。第一線で活躍するコピーライター、クリエイティブディレクターの皆さんが、33万通以上という膨大な応募作品の中からキラリと光る言葉を発掘すべく、熱心に審査中です。

事務局は、審査を終えた審査員の皆さんに今年の審査の感想や、作品に対する印象などを伺いました。

このインタビュー記事を、期間限定のシリーズ企画として順次アップしていきます。

電通 阿部光史さん

阿部光史さん

電通 阿部光史さん

本日お一人目は、電通の阿部光史さん。アイフルの「どうする?アイフル」や「豆しば」アニメシリーズのCDなどを手掛け、NYフェスティバル、TCC賞、ACC賞など多数受賞する一方、スパイクスアジアやLAメビウス賞では審査員を務めるクリエイティブディレクターです。

――審査作品には、どのような印象を感じましたか?

阿部さん 前年より少しづつレベルが上がっているように感じました。広告の構造を調べてから、取り組んでいる人が増えているのではなないでしょうか。

――今後も、最終審査に向けて審査が進行していきますが、どんな作品が最終審査に残っていくと思いますか?
 
阿部さん 人の温かみがあるものや、面白いだけではないエモーショナル、ポジティブなものが最終審査に残っていくのではと思います。


面白い反面、オリエンテーションに沿っていない作品もまだ多いとのこと。企業の広告の狙いを見極めることが大事なようです。

シンガタ 萩原ゆかさん

シンガタ 萩原ゆかさん

二人目は、シンガタ 萩原ゆかさん。イオンや明光義塾、全日空などの幅広いクライアントを持ちACC賞金賞・銅賞、TCC新人賞など受賞歴多数のCMプランナーです。

――審査作品には、どのような印象を感じましたか?

萩原さん (担当した課題のせいかもしれないが)心にじーんとうったえかけるもの、絆、人間関係を表現しているものが多かったように感じます。ひねり(ストーリー性、オチ)を入れるとその人らしさが出ますが今回はストレートな表現が多かったためか、似たアイデアが目立ちました。そうした中、審査を通過した作品は、これまでとは違う新しい表現になっているのではないかと思います。

――今後も、最終審査に向けて審査が進行していきますが、どんな作品が最終審査に残っていくと思いますか?
 
萩原さん 小手先でびっくりさせたり、笑わせようというのではなく真っ当ながらオリジナルな切り口を出している作品が残るのではないでしょうか。真っ当すぎても面白くなく、ストレートな表現の中で、「おっ」と思わせる何かがなければ残らないと思います。
      

いまの時代の流れとして、笑いを織り交ぜることなくオリジナルな切り口を明確にしていく必要があるのでしょう。

博報堂クリエイティブ・ヴォックス 神田祐介さん

神田祐介さん

博報堂クリエイティブ・ヴォックス 神田祐介さん

本日、3人目は、博報堂クリエイティブ・ヴォックスの神田祐介さん。主な仕事に日本コカ・コーラ「Fanta」、日清食品「日清焼そばU.F.O.」などがあり、皆さんにとってもおなじみの広告を多数手掛けています。TCC賞やタイムズアジアパシフィック広告祭僅少、文化庁メディア芸術祭マンガ部門など幅広い受賞歴もお持ちのCMプランナー/コピーライターです。

――初めての宣伝会議賞の審査はいかがでしたか?

神田さん 段ボールでたくさんの作品が届いたので、とてもびっくりしました。審査は、どんな切り口のコピーが響くのかという勉強にもなりました。全体の1割くらいの作品が、クリエイティブ面で突出していましたね。切り口や言葉の並びがとても良かった。また、街に掲出されている広告の影響を受けたのだろうという作品が多く見られました。私たちのつくる広告の影響力の大きさを実感するとともに、そのクオリティを上げていかなければ、とあらためて意識が高まりましたね。

――作品全体の印象はいかがでしたか?

神田さん 上手い人は本当に上手い。考えている時間や量も関係しているのではないかと思います。一方で、面白い切り口だなと思っても、言葉の並びが違っているというような、とてももったいない作品も多く見られました。同じ切り口でも発想が良かったり、言葉の選び方が上手いというのが選考の決め手になりました。また、いいコピーだと思った作品は、企画意図にしっかりとした裏付けがありましたね。身の回りの人へのインタビューの結果から生まれたコピーなどは、説得力もありました。

――今後、最終審査に向けて審査が進行していきますが、どんな作品が最終審査に残っていくと思いますか?
  
神田さん 今年は、さまざまなことがあった一年でした。応募作品にも、その影響が少なからず表れていたように思います。しかし元気のいい、前向きにさせてくれるコピーもたくさんありました。そうしたコピーが今年は選ばれるのではないかと思います。

こやま淳子事務所 こやま淳子さん

こやま淳子さん

こやま淳子事務所 こやま淳子さん

本日最後・4人目は、こやま淳子事務所 こやま淳子さん。スズキアルトや森永乳業PINO・MOWなどを手掛け、TCC新人賞やFCC賞、ACC賞、毎日広告賞など受賞多数のコピーライターです。

――今年の作品の印象はいかがでしたか?

こやまさん 昨年に比べ、よりバリエーションに富んだ視点の作品が集まっていたように思います。 実際に広告コピーとして世に出ているのではと思えるような作品も多く、全体の質は高かったですね。その一方で、よくある言い回しを使った、気持ちがこもっていない作品も見られたように思います。

「skatに掲載されれば良いかな」というレベルではなく、「グランプリと獲るんだ!」という強い気持ちを持って臨んでほしい。グランプリを獲れるかどうかは、いかに「気持ちが入っているかどうか」にかかっていると思います。クライアントへ提案する仕事とは少し違うので、宣伝会議賞ならではの自由な視点で取り組むと良いのではないでしょうか。そうした作品が、今後の審査で残っていくと思います。

――今後も宣伝会議賞に取り組む応募者に向けて、アドバイスはありますか。

こやまさん いろいろな情報を得るのも大切ですが、自分の頭で考えて自分の言葉で書くことのほうが重要。そのためには、商品を実際に使ってみたり、使っている人に感想を聞いてみたりして、課題についてさまざまな視点から考えてみることが大切だと思います。


コピーを書く技術はもちろん、言葉に込める強い思いも、「伝わる」コピーの重要な要素と言えます。

シリーズ【第49回宣伝会議賞 審査員に聞きました】