コラム

宣伝会議インターネットフォーラム2012

【インターネットフォーラム(6)基調対談:資生堂×トヨタ】「オウンドメディア運営は自社だけではできません」

share

「宣伝会議インターネットフォーラム2012」が6月6日、東京都内で開かれ、フェイスブックや動画活用、オウンドメディア、ECなどを、デジタルメディアやツールを活用したマーケティングをテーマに多くのセミナーが行われました。その一部を6月から7月上旬にかけて、本欄で紹介します。

笹間靖彦氏(資生堂/国内化粧品事業部デジタルビジネス開発部長)
平野義孝氏(トヨタマーケティングジャパン/プロデュース局WEBマーケティング室長)
[モデレーター]田中里沙(宣伝会議/取締役編集室長)

ソリューションビジネスに進化させたい

――多くの企業にとってオウンドメディアの活用が課題と言われています。そんな中で、資生堂の取り組みが注目されています。

笹間靖彦 氏(資生堂)

笹間靖彦 氏(資生堂)

笹間 今はネット上に多くの情報があふれ、お客さまが処理しきれなくなったことで、企業からすれば逆に情報が伝わりづらくなっています。これまでの一方通行による情報発信型ではなく、コミュニケーションから変える必要があります。こうした考えから、資生堂の公式サイトが進化した「watashi+(ワタシプラス)」と企業連合型コラボレーションサイト「Beauty & Co.(ビューティー・アンド・コー)」を立ち上げました。

「watashi+」では1世紀以上にわたって培った美容カウンセリングのノウハウや全国の小売店様の店頭サービスの内容などを問診型や会話型コミュニケーションを通じて知ることができます。

基調対談

「Beauty & Co.」はお客さまの目線に立ち、美容だけでなく生活に寄り添ったビューティー全般に関する情報やコミュニケーションツールを備えたサイトです。現在30社ほどの企業が参加しています。

この2つのサイトとビューティーコンサルタントが対応する店頭を組み合わせることで、ビジネスを回してより大きなものにしていく考えです。

――資産を生かした新しいビジネスモデルということでチャレンジの本気度が伝わってきます。お客さんとの関係を深めてその上へという流れは順調ですか。

笹間 今のところ想定した通りに進んでいるという手ごたえがあります。今後はお客さまとよりダイレクトに絆を作り、価値ある情報を提供していきたいと考えています。さらには化粧品を売るだけではなく、美に関する総合ソリューションビジネスとして進化させていきたいです。

マーケティング視点で「デジタル」を使う

――トヨタマーケティングジャパンはデジタルマーケティングの専門部署を立ち上げるなど体制を充実させていますね。

平野義孝 氏(トヨタマーケティングジャパン)

平野義孝 氏(トヨタマーケティングジャパン)

平野 当社が1月に立ち上げた「WEBマーケティング室」は、モノが売れるために企業や商品のブランド価値をどう向上させたら良いのかという視点でデジタルマーケティングを担当しています。

たとえば車を買ってくださるお客さまの多くはうちのサイトを訪問します。失敗しない買い物をするためにきちんとチェックしているのです。一方サイトに不備があると、販売店への来店やカタログの取り寄せなどの段階に至るまでに離れてしまう。そのようなことがないよう、不備を分析して改修、更新しています。

ほかにもキャンペーンのデジタル広告などの刷新も担当しています。ここでは購入に積極的なお客さまは少ないので、逆にあまり気にせず自分たちのポリシーや目的に沿って、アプリなどいろいろ施策の取り組みにトライしています。SNSでも同様にマーケティング効果を追求しています。

そういったトライアルの中で知見とスキルを積み、効果的で高効率なプロモーションを模索するのが我々のミッションです。言い換えれば、マーケティング視点でデジタルをツールとして使うということです。具体的には、どうすれば他社よりもこちらへ来てもらえるかを考えています。

――マーケティング視点でネットを活用するということですね。平野さんが考えるオウンドメディア活用とはどのようなものですか。

平野 自社サイトだけでなく、SNSなども含め自社で発信して、人が集まる場所も有効活用すべきだと思います。先日はユーチューブで公式チャンネルも立ち上げました。こちらでも積極的に情報発信をしていきたいですね。

オウンドメディアはトライ&エラーの繰り返し

基調対談

――オウンドメディアに取り組むに当たって、協力企業などパートナーの存在も重要だと思います。そうした側面での期待についてどのように考えていますか。

平野 自分たちのサイトですが、自分たちですべてつくることはできません。クリエイティブ面からリサーチやソリューションのサポートなど、いろいろと教わって初めて成立するわけです。

ところが、「オウンドメディア」と言うと周囲が少し尻込みしてしまっているようにも思います。確かに我々はオウンドメディアを大事にしていますが、「そこを私にやらせてください」ともっと手が挙がってもいいのではないでしょうか。コラボレーションがうまく進むことで、もっと日本の企業全体が世界に負けないようになると思います。

笹間 デジタルは特に様々なチャレンジが必要で、トライ&エラーの繰り返しだと思っています。既存のビジネスとの関係性をとってもどう変わっていくか分からない部分もあります。とはいえ、「とにかくやる」という姿勢が重要だと感じています。そうした中で一緒にやろうよって言ってくださるパートナーさんはとても大切ですし、いないと進まないんですね。それぞれいろんなノウハウとか蓄積したスキルをお持ちだと思いますので、フル活用してサポートしていただけるのをとても期待しています。

次回はダイキン工業です。

笹間靖彦氏(資生堂/国内化粧品事業部デジタルビジネス開発部長)
1988年資生堂入社、1998年より化粧品ブランドのマーケティングを担当。2006年より国内化粧品事業部事業企画部マーケティング戦略室にて事業戦略を担当。メガブランド戦略や国内事業の構造改革に携わる。Webを活用した新しいビジネス展開の構築を担当し、2011年4月より現職。現在は企業と専門家、ユーザーでつくるコラボレーションサイトBeauty & Co.の事業責任者。

平野義孝氏(トヨタマーケティングジャパン/プロデュース局WEBマーケティング室長)
1991年トヨタ自動車に入社。1999年より宣伝部にて、12年間広告宣伝業務を担当。当時より、車種キャンペーンでWEBを活用したデジタルでの広告活動に取り組む。2010年、トヨタ宣伝部を母体に設立した「トヨタマーケティングジャパン」に出向。トヨタのマーケティング企業サイト「toyota.jp」の企画運営を担当する。2012年1月、SNSプロモーションも含めたデジタルマーケティングを本業とする専門チーム「WEBマーケティング室」を設立、室長としてトヨタのデジタルマーケティング業務に従事する。

連載【インターネットフォーラム】バックナンバー

Follow Us