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コラム

ジブンと社会をつなぐ教室

ジブンと社会をつなぐって?

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牧口 征弘(プランニング・ディレクター)

【新教室はじまります】

この度、マスメディアンさんと一緒に新しい教室を開かせていただくことになりました、電通の牧口と申します。よろしくお願いいたします。我々チームでは、「コミュニケーションの力で仕事との出会いを変える」を合言葉に、皆さんの力になりたいと考えています。以下、少々回りくどいですが、プロジェクト・スタートの趣旨に触れていきたいと思います。

映画を見た劇場

映画を見たポーランド・ワルシャワの劇場

先日、ワルシャワである映画を見てきました。“JIRO Dreams of Sushi”というアメリカのドキュメンタリーです。舞台は、ミシュランの三つ星を獲得し世界最高峰の寿司店と称される、すきやばし次郎。店主の小野二郎氏と弟子たちの姿を描いた、秀作です。

作中、一人の職人のエピソードが紹介されます。入門して10年目、遂にお店で出す卵焼きを焼かせてもらう日がやってきます。本人は、「卵焼きには自信がある。店でも一番上手いんじゃないか」と思っていたと語ります。しかし、何枚焼いてもオヤジさんからの許可は出ません。繰り返し繰り返し繰り返し焼いて、枚数にして200枚を超えた果てに、やっとオヤジさんから「これでいいんじゃないですか」との言葉が出てきます。

その経験を語る職人は、実に輝かしい笑顔をしています。
一方で、朝入門して、その日の夜に逃げ出していく若者もいるということです。

この二人の違いは何でしょうか?

要するに、自分のやろうとしていること、していること、そしてその主体である自分自身についての確信があるかどうかの違いだと思います。

一人の人間が社会に属する以上、個体として共同体に何が貢献できるのか、自分にある何をもって他者と関わりを持っていくのか。偉そうなことを言うと、それが仕事と個人との関係の意味合いではないかと考えます。

自分と社会との重要な接点の一つとしての仕事。そのような考えに基づいて、この教室は始められようとしています。

こういう視点に立つと、自ずと見えてくることがあります。まずは、自分のことを徹底的に見極めることが出発点であると。そして、それをいかに他者に伝えるかが重要であるかと。

職に就くのはあくまで通過点です。自分のことを探究し、仕事を通じてさらにそれを深めていく。そんな終わり無き旅が始まると考えてみて下さい。何だか面白そうに思えてきませんか?

共に走る仲間をお待ちしています。

makiguchi
牧口征弘(まきぐち・まさひろ)
プランニング・ディレクター。1990年、東京大学法学部卒業後、電通に入社。以来、一貫してプランニング職。著書に「広告小学校‐CM作りで『伝える』を学ぼう。」(宣伝会議)、訳書に「アカウント・プランニングが広告を変える」(ダイヤモンド社)。