開発・提供しているアプリ数も多い
PCユーザーのスマートフォンの所有率が4割を超え(ビデオリサーチインタラクティブ調べ)、携帯電話=スマートフォンという状況になりつつある。多くの企業がスマートフォンのアプリを開発・提供しているが、中でも目立つのが自動車メーカーが提供しているアプリではないか。
実際、昨年秋から『宣伝会議』で連載している「私が選ぶ注目企業アプリ」においても、14回のうち5回という高確率で自動車メーカーのアプリが選出されている(右図参照)。そこで自動車メーカー大手3社が提供するアプリを確認してみたところ(4月5日時点)、トヨタ自動車が16種、本田技研工業が30種(体験版含む)、日産自動車が5種であった。このほかにも第11回(2012年)モバイル広告大賞において、MINI Japan(ビー・エム・ダブリュー)の「MINI COUPÉハンティング大作戦」がグランプリを受賞している。
そもそもスマートフォンのアプリと自動車の親和性について、宣伝会議3月15日号にてマツダが提供する「CARPTUREFORDRIVERS」を選出したシーサーの長村 新氏は、その理由のひとつに「購入までの検討期間が長いこと」を挙げる。「比較検討をじっくり行うには、あらゆる情報が必要になります。そのため、空いた時間などに調べられるスマートフォンや口コミ系のCGM との相性が良いと感じています」。
確かに、高価格帯の商品である自動車は、購入までに検討する期間が長く、また、購入者自身がオプション追加などカスタマイズが可能だ。しかし一方で、実際のクルマは納車した時点で実際に確認することもあり、スマートフォンの機能を使いあらゆるシミュレーションが効果的なのではないか。
エンターテインメントでファンを醸成
改めて選出されたアプリを確認してみると、自動車の購入とは直接的な関係が見受けられないものも多い。これは、比較検討期間とともに、買い替えまでの期間も長いことに起因するのではないか。
買い替えまでの期間が長いため、ブランドイメージを向上させられる機会・接点は多い。その接点でユーザーとの関係性を深めておくことで購入しようと考えた瞬間に自社を想起しやすくする。そうするため、一見直接的には関係がないエンターテインメント性が高いアプリを長い時間をかけてファンを醸成する広告として提供している。
他業種が活かせるポイントはあるのか
スマートフォンにはGPS機能が備わっていることも、アプリと自動車の親和性を高くしている大きな理由のひとつだ。4月15日号にて本田技研工業が提供する「RoadMovies」を選出したKLabの岡田恭介氏も「クルマは動くものであり位置情報と密接な関係にあるので、スマートフォンのGPSと相性が良い」と話す。また、「車内」という特別な空間の中でドライバーやコミュニケーションのサポートとして、アプリが活用しやすかったり、自動車=ドライブ=旅などさまざまな角度でテーマが転換できアイデアの応用がしやすかったりすることも自動車メーカーのアプリが秀逸な要因とする。
こういった、自動車だからこそ企業アプリが活用しやすいという背景もあるかもしれないが、他業種でも活かせる点はないのだろうか。それに対して岡田氏は「GPSやARと相性が良いシーンを見出すこと。また、手が離せない状況や限定的な空間でのコミュニケーションシーンに対して活かせると思います」と話している。
限定的な場所で利用される商品・サービス、また買い替えまでのスパンが長い高価格帯商品など、それぞれのポイントを見ていき、他業種においても秀逸アプリが多い自動車メーカーのメソッドを活かしていけるのではないだろうか。
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