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コラム

全日本広告連盟 創立60周年特集

トヨタ、サントリーなど広告主5社が登壇――全広連60周年記念 特別シンポジウム(1)

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需要を地道に掘り起こす――トヨタマーケティングジャパン・河本氏

テレビCMで免許取得促進

河本氏
トヨタマーケティングジャパン 
取締役副社長 河本二郎氏
兵庫県出身。1979年トヨタ自動車販売(当時)
入社。トヨタ店営業本部、宣伝部室長、レクサ
ス国内営業部長、法人事業部長などを経て、
2013年4月からトヨタマーケティングジャパン
取締役副社長。

河本(トヨタマーケティングジャパン):車への関心の推移は、全体的には2005年頃から大きく下降し、特に20歳代~30歳代は危機的状況にあると言えます。企業側とお客さま側、双方からの取り組みが急務ですが、その改善は、短期的なアプローチでは非常に難しいと思われます。そこで幼少期から成人に至るライフサイクルの中で、地道に需要を掘り起こしていこうとしています。

特に力を入れている4つの方法を紹介します。(1)車ファン拡大のための企業広告。(2)車への憧れ創出。(3)車への興味を喚起する幼少期の原体験施策。(4)未来の需要創出のための新世代モビリティーの開発、です。

まず若者向けの広告展開として、人気アニメ「ドラえもん」の実写版の設定で、車の夢や楽しさをテーマにしたテレビCMを放映しています。最近の若い人は免許すら取らない傾向にあるので、免許取得促進のため、現在は主人公ののび太君が免許を取得するまでの過程をストーリー仕立てで展開しています。シリーズ開始1年半でようやく免許を取る決心をするところまできました。

一方キャンペーンは、若者に直接働きかけるもののほかに、TOYOTA86やクラウンなどの中高年層がオーナーの車で、若い人にも受け入れられるような戦略を広告に取り入れています。86のグラフィック広告は、販売目的というより、車への憧れの喚起を目指しています。クラウンはトヨタ車の中で最も保守的な車ですが、「TOYOTA ReBORN」キャンペーンで、再生のシンボルとして打ち出しています。思い切ってピンクのクラウンをCMに登場させ、大きな話題となりました。

子どもの原体験をつくる施策は、自治体や販売店の協力を得て「トヨタ原体験プログラム」を実施しています。車の楽しさを体験してもらい、大人になっても車ファンでいてほしいという思いを込めて、小学校への出張授業や、試乗会のイベント会場などでの課外授業を実施しています。現在、全国約1100校、約6万人の小学生に体験してもらいました。

未来に向けての需要創出としては、新世代モビリティーの開発に取り組んでいます。ふたり乗り電気自動車「i-ROAD」、ひとり乗りパーソナルモビリティー「Winglet」など、エコノミーで気楽に移動できる車を普及させることで、車に対する垣根をできるだけ低くして、若い人たちにも気軽に車に乗っていただけるようにしたいと考えています。

「ドラえもん」が理想

久保田(サントリービジネスエキスパート):トヨタさんは企業に人格を持たせたメッセージを発信されているように感じます。サントリーでは「水と生きる」をコーポレートメッセージに据えていますが、誰にどのように伝えて、どういう企業と思ってもらえばいいのか、いろいろと設定はしていますが、難しいところです。

河本:トヨタは、「ドラえもんになりたい」というのが本音です。「トヨタは真面目」というイメージを持っていただいている一方で、「堅い・生意気・面白くない」というマイナスイメージもあります。ドラえもんのように親しまれる会社になれれば幸せです。

久保田:おっしゃるとおりで、当社も「親しみ・活力・信頼感」の3つの要素をバランスよく持てるようになりたいと思っています。そうなって初めて多くの方に慕われると思っています。

ところで、若者の車離れ同様、サントリーでは若者の酒離れが課題となっています。トヨタさんでは、キャンペーンの目標値はどのように設定されていますか。

河本:数字はお話しできませんが、いかに好意を持っていただけているか、定期的に年齢別調査を実施しています。特に重点を置いているのが「親しみのある」「夢を感じる」といった企業イメージ項目で、数字を見ながらブランドチェックをしています。

[次回(7/22更新予定)へ続く]