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コラム

原田朋のCHIAT\DAY滞在記 ~リー・クロウの下で365日~

アイデアの「大きさ」とは何なのか?

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アイデアの「大きさ」とは何だろう。

リー・クロウの仕事と、CHIATの最近の取り組みからインスパイアされて、僕はあらためて、3つの方向から「アイデアの大きさ」を計ろうと思った。

1つ目は、企業活動をインスパイアするか?という視点。たとえば、Think Differentというアイデアは、素晴らしい60秒CMが起点になっているけれど、Think Differentという言葉(スローガン)はその後のApple製品のあり方と企業のあり方を予言し実現する言葉になったと思う。iMacをはじめて見た時、なるほどこれぞThink Differentだ!と思ったものだが、iPodだって、iPhoneだって、iTunesだって、続々と出てくるApple製品はどれもThink Differentなものだった。もしも僕がAppleの社員だったら、この言葉とあの広告に勇気づけられて、自分の仕事に誇りをもって取り組めたと思うし、何か一つでもThink Differentなことを実現しようとしたと思う。大きなアイデアは、いい広告になるだけでなく、企業活動そのものをインスパイアすることができると思う。企業活動という「大きなReal」に貢献できる。

2つ目は、Human Truth(人間の真実)をつかんでいるか?という視点。結果的に多くの人の心に響き、多くの人とエンゲージし、多くの人にシェアされるメッセージは、商品特徴の説明を超えて「人間ってそうだよなあ」と思わせてくれ、感動させてくれるメッセージだ。Human Truthについては『ブレーン』9月号の海外賞審査員座談会で語られていることに強く賛成する。また、Diamondハーバード・ビジネス・レビュー『博報堂ケトルの広告は変われる』で木村健太郎さんと岸勇希さんが語られていたことにも非常に共感した。メッセージの大きさを考える上で、カンヌのブランデッド・コンテンツ部門は特にためになるだろう。

3つ目は、社会を良い方向に変える力があるか?という視点。これは、今年のカンヌのキーワードになった「ソーシャル・グッド」とほぼ同じ意味だけれども、社会の問題を解決するアイデア、という意味に厳しく限定してしまうと、公共的な仕事が中心になってしまって、僕らの普段の仕事のほとんどが漏れてしまう。だから、企業や商品ブランドの活動でありつつ、社会を変えたいと思う人たちの背中を押すような仕事も、ここに含みたい。Think Differentという言葉がそうであったように。

 昼間のリー・クロウのお祝い会の記念に、全員に配られたiPhoneケース。そこに描かれた似顔絵は、眺めるだけで、夜中にこんなに長い文章を書かせてしまう力を持っているわけである。

リーのイラスト入りiPhoneケース。
みんなに配られたリーのイラスト入りiPhoneケース。使うのがもったいないけど使います。