全ての業種が観光業である
ドン・キホーテグループ ジャパン インバウンド ソリューションズ 代表取締役 中村好明氏
ドン・キホーテグループでは、社内で蓄積してきた訪日観光誘致のソリューションを、国や自治体、民間企業に開放することを目的に、インバウンド(訪日観光)誘致の戦略部門を独立させ、今年7月にジャパン インバウンド ソリューションズを設立しました。
安倍内閣が、「観光立国」を成長戦略の重要な要素として掲げているように、訪日観光は日本経済の成長を支える重要な分野です。訪日客はモノを購入し本国に持ち帰ってくれますから、インバウンドはいわばもう一つの輸出産業。インバウンドとは、観光で外貨を稼ぐ取り組みなのです。
世界の観光産業の競争の中では、富士山、温泉といった個々の観光資源をそのまま海外向けに売り込んでも太刀打ちできません。過去の観光戦略の延長線上ではなく、アジア圏をメインターゲットに「日本」というブランドを観光資源として新しくつくり上げていかなければなりません。
その第一歩として、観光の概念を広く捉え直す必要があるでしょう。例えば、お土産というと、観光名所の温泉まんじゅうのようなものをイメージしがちですが、訪日客からすると、市中のコンビニや100円ショップで購入したものもお土産。普段使いのディスカウントストアであるドン・キホーテでの買い物も、訪日客にとっては観光体験なのです。インバウンドの視点からすると、あらゆる業種が観光事業者。つまり旅行会社や宿泊施設や運輸業だけが観光産業ではないのです。
また観光と言うと、物見遊山やレジャーの概念で捉えがちですが、友達や親類を訪問する「VFR(Visiting friends and relatives)」も、観光の重要なマーケットです。冠婚葬祭で親類を訪れる、病気の家族を見舞いに行く、といった訪問は、国際政治や経済と関係なく安定的に訪日客を増やせる市場でもあります。LCC(格安航空会社)の台頭で、国際VFR市場にも注目が集まっています。
日本オリジナルの業態が訪日客を呼び込んだ
なぜインバウンドに取り組むのか。その動機に、日本の人口減少で内需が落ち込んだ分を海外からの訪日客で補てんする、という考えが広まっているように感じています。
しかし、韓国で少子化が深刻化していると言われるように、アジア圏で人口が減っている国は日本だけではありません。定住人口が減っている国同士が、交流人口を互いに増やすことで、アジアの国際観光市場を拡大し共有していく。こうした前提のもとで、プロモーションを行う必要があるでしょう。
国際観光市場は、少子高齢化とは別に伸びています。他から奪う考え方ではなく、知恵を使って人々を交流させる、という考えでないと、日本は世界から取り残されかねません。
24期連続で増収増益のドン・キホーテが、インバウンドに力を入れる理由は、内需の減少ではありません。目先のマーケティングではなく、アジア圏の人々の交流に寄与しようという考えで行っています。
ドン・キホーテは、スーパーブランドからファンシーグッズ、ゲーム、家電、酒、食品までバラエティ豊かな商品がそろい、深夜まで営業しています。しかもディスカウント価格で、圧縮陳列や手書きPOPで楽しさを演出するジャパンオリジナルの業態です。世界の大都市において、繁華街のど真ん中にディスカウントストアがある国は珍しく、この独自の業態がインバウンド市場ではアドバンテージとなって、訪日客の来店を増やしてきました。
最初は店に訪日客を呼び込むプロモーションを考えていましたが、現在では、国際親善活動にも力を入れ、観光は人々の交流と捉えて、観光立国に向けて取り組んでおります。
(次回予告)
次は、アイ・コーポレーションです。
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