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“産声”でつくる、この世で一番未来な音楽 ――福岡・UBUGOEプロジェクトが生まれるまで

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スタッフ総出のドキュメンタリー撮影

5月からドキュメンタリーの主人公であるに妊婦を福岡県内で募集。テレビでの告知と併せて、スタッフが県内の産婦人科を回り、募集ポスターやチラシを設置した。その告知を見た22名が応募。オーディションを経て、19歳のシングルマザーや4児の母など、9名の母親が選ばれ、7月から密着取材が行われた。

出産に向けての不安や期待、子どもに対する思い、それぞれを取り巻く環境の中での出産の準備の様子をカメラが追いかけ、総撮影時間は270時間にも及んだという。

そして、夏の終わりから彼女たちの出産シーンの撮影が始まる。

「山崎さんも鈴木さんも東京在住のため、出産予定日前後でスケジュールを組み、産院と交渉し、撮影のため待機していたのですが、まったくもってスケジュール通りにはいきませんでした」。

同時に音楽に組み込むために県内で募集した産声の録音・収集も行われ、今永さんをはじめ、企画を手がけた北川譲さん、土居ナンシー美由希さんらスタッフは自らカメラと録音機を持ち、県内の産院を回った。撮影は主にキヤノンC300で行われた。

音楽を制作したのは、NTTドコモ「森の木琴」を手がけたことで知られるインビジブル・デザインズ・ラボ。オーケストラが奏でる音色にどのように赤ちゃんたちの産声を重ね合わせるか、サウンドデザイナー松尾謙二郎さんは完成まで試行錯誤したという。

「一般に赤ちゃんの泣き声はラの音が多い。その音を中心に高低差のあるさまざまな声を楽曲に重ねてもらうという、かなり緻密な作業を松尾さんたちにはお願いしました。母親が聞いたときに、自分の子どもの声はわかるだろうと思ったので、できるだけ加工せずに、録音したときの状態を活かしてもらっています」。

楽曲完成とともに編集作業も佳境に。270時間分の撮影素材を30分弱まで縮めなくてはならない。「音楽をつくることが目的のプロジェクトですが、映像では母親たちの想いがきちんと伝わる映像になっているかということを重視し、鈴木監督が編集をしました」。

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