写真①は、米国のある乾電池売り場です。買物客は、この乾電池売り場に立ち、価格が安ければ買い置きを、必要に迫られれば少々価格が高くても、乾電池を購入していきます。この乾電池売り場から買物客が与えられる選択肢は、「価格が安いものを買おうか」ということか、「良く知られているブランドを買っておこうか」という2つです。
「選択肢」という言葉を使いましたが、売り場の前に立った買物客は、多かれ少なかれ商品選択を行います。それがどれだけコモディティ化している商品であっても、使い慣れている商品であっても、たとえ無意識的にでも、自身の購買経験や蓄積した商品情報を元に、商品の選択を行い、最終的に購買を決断しているのです。
操作される購買行動と新しい売上
では、それを踏まえて、もう一度写真②、③を見てみましょう。
写真①と異なるのは、商品の打ち出し方です。ここでは、「安いか、ブランドか」ではなく、乾電池の新しい選択肢として、「子供のおもちゃ向け」と「ハイテク製品向け」という使用用途を提示しています。
このように別の選択肢を提示されたら買物客はどうなるでしょう?
当然、その新しい選択肢に従った、別の経験・別の情報による決断を下します。つまり、新しい選択肢を提示することによって、新しい購買行動が起きる、ということです。これをチェースデザインでは「購買行動に操作を加える」と呼んでいます。
購買行動を操作するような新しい選択肢を提示された買物客は、今までと違う判断基準をもとに、自分の選択が正しいものであると納得できる商品を選択します。そして、それがより粗利率の高い商品に誘導されていれば、製品自体のイノベーションや価格プロモーションに頼らない、純増利益を生み出せることになります。
「新しい売上を作る「売り方のイノベーション」~買物客の購買行動を、売り場で操作する~」バックナンバー
- 最終回 売り方のイノベーションとオムニチャネル(2015/4/16)
- 日本で「売り方のイノベーション」を実施するための組織と商談の工夫とは?(2015/4/09)
- メーカーと小売業がWin-Winの関係で売り方のイノベーションに取り組むには?(2015/3/26)
- 米国成功事例② P&GがTargetをビューティケアカテゴリーの「絶対行きたいお店」に変革した売り方のイノベーション(2015/3/13)
- 米国成功事例① スーパーで売れた「スターバックスコーヒー」とは?カテゴリーも活性化させた売り方のイノベーション(2015/2/26)
- デート成功の秘訣は、ショッパーのディマンドとインサイトが出発点。(2015/2/12)
- メーカーと小売がWIN—WINとなる「ショッパー・ベース・デザイン」はこうして生まれた(2015/1/29)
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