今回の場合、使用用途として「子供のおもちゃ向け」「日常生活向け」「ハイテク製品向け」の3つに分け「子供のおもちゃ向け」と「ハイテク製品向け」の2つを「日常生活向け」とは切り離して提示しました。
なぜこの2つの選択肢を提示したのかといえば、買物客が購買を決定する際に、最も気にする事柄・頭に浮かべる事柄・頭をよぎる事柄を調査し、購買選択に影響をあたえる要素のみを抽出した結果、「子供」「ハイテク製品」に強い影響度があったからです。一方、「キッチン」「非常用」といったものは購買行動を変えるほどの、強い影響度はありませんでした。
そうして、乾電池売り場の「選択肢」に「安いか、ブランドか」ではなく、「日常使いか、子供用か、ハイテク用か」を持ち込んだことで、「子供のおもちゃに使うのだったら、安全な、信頼のおける製品がいい」とか「ハイテク製品に使うのだから、しっかりパワーのある乾電池にしよう」といった、新しい選択理由が、強く想起されるようになりました。つまり、「価格」以外の判断基準でも購買決定がなされるように誘導できるようにしたわけです。
新しい購買行動が生まれれば、そこには「新しい売上」が生まれます。
「ショッパー・ベース・デザイン」という考え方
このように、我々が標榜し、実践するショッパー・ベース・デザインとは、買物客の購買行動のインサイトを適切に抽出して、購買行動を操作する売り方のデザインです。
乾電池のケースでは、「新しい選択肢の提示」によって購買行動に変化をもたらしましたが、他にも様々な「操作」の方法がありますし、購買行動を操作できるほどの「要素」の特定方法も気になるのではないでしょうか。
次回は、「ショッパー・ベース・デザイン」という考え方を、もう少し詳しく掘り下げていきます。
「新しい売上を作る「売り方のイノベーション」~買物客の購買行動を、売り場で操作する~」バックナンバー
- 最終回 売り方のイノベーションとオムニチャネル(2015/4/16)
- 日本で「売り方のイノベーション」を実施するための組織と商談の工夫とは?(2015/4/09)
- メーカーと小売業がWin-Winの関係で売り方のイノベーションに取り組むには?(2015/3/26)
- 米国成功事例② P&GがTargetをビューティケアカテゴリーの「絶対行きたいお店」に変革した売り方のイノベーション(2015/3/13)
- 米国成功事例① スーパーで売れた「スターバックスコーヒー」とは?カテゴリーも活性化させた売り方のイノベーション(2015/2/26)
- デート成功の秘訣は、ショッパーのディマンドとインサイトが出発点。(2015/2/12)
- メーカーと小売がWIN—WINとなる「ショッパー・ベース・デザイン」はこうして生まれた(2015/1/29)
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