【前回のコラム】「メーカーと小売がWIN—WINとなる「ショッパー・ベース・デザイン」はこうして生まれた」はこちら
ショッパーのディマンドとインサイトを押さえる
前回、ショッパー・ベース・デザインは、メーカーと小売店の協働マーケティングのキーアイデアであるということをお伝えしました。
それはショッパー・ベース・デザインが、ブランドの資産を活用して小売店の抱える課題を解決することにより、小売店に新しい売上と利益をもたらし、結果、ブランドのインストアシェアを伸ばすことができるからです。
今回は、我々チェースデザインが行っている具体的な設計プロセスを紹介し、どのようにすれば、ショッパーが「自分にとって正しい選択」を行っているという安心感、満足感を創出できるのか、デートをモデルにしながら考えてみます。
突然ですが、あなたの目の前に、とても魅力的な人がいたとします。機会を作って、一緒にゆっくり話してみたいなぁなんて思ったら、「どんな話題」を出せばその人の気を惹くことができるのか?「どこで」話をすればその人が喜ぶのか?という根源的な戦略を無意識にでも考え始めているのではないでしょうか?
そして、「どんな話題がいいのか」「どこが適切な場所なのか」「どのように誘えばいいだろうか」といった、その人が抱いているディマンド(欲求)を、適切に満たすことができれば、最初のデートから二人の関係はとても心地よい関係になっていくことでしょう。逆に、相手のことを考えずに自分の好きな話題や趣味だけのデートを組み立てると、自分はとても楽しい時間が過ごせても、大抵、その人との次のデートの機会は二度と巡って来ないと思います。
これと同様に、小売店の店頭には「魅力的な人」が大量に行き交い、まさに「品定め」をしています。この魅力的な人たちをデートに誘う、あるいはデートに誘わせるためには、この人たちのディマンドを正確に把握することから始めなければなりません。
そして、ディマンドを把握することが出来たら、そのディマンドを「どのように」満たすかの戦略を立てる必要があります。そして、闇雲に戦略を立てても大きな効果は狙えません。このとき、戦略立案の柱として重要な役割を担うのが、インサイトです。
デートに誘いたい相手は、何を欲しているのか?……このところ仕事が忙しくて、パーッと気晴らしをしたいと思っているのなら、ディマンドは「気晴らし」です。そしてどのような気晴らしが相手にとって好感度が高いのか?……最近はワインにハマッているようなら、インサイトは「ワインに興味あり」です。
ショッパー・ベース・デザインの具体的なステップの説明に入る前に、このような話をしたのは、多くの方々が「ディマンドとインサイト」という用語を漠然と使っているからです。もちろんその言葉の定義が、我々の定義と違う場合もありますが、ディマンドとインサイトの違いや意味を理解することは大変重要です。
「新しい売上を作る「売り方のイノベーション」~買物客の購買行動を、売り場で操作する~」バックナンバー
- 最終回 売り方のイノベーションとオムニチャネル(2015/4/16)
- 日本で「売り方のイノベーション」を実施するための組織と商談の工夫とは?(2015/4/09)
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- 米国成功事例② P&GがTargetをビューティケアカテゴリーの「絶対行きたいお店」に変革した売り方のイノベーション(2015/3/13)
- 米国成功事例① スーパーで売れた「スターバックスコーヒー」とは?カテゴリーも活性化させた売り方のイノベーション(2015/2/26)
- メーカーと小売がWIN—WINとなる「ショッパー・ベース・デザイン」はこうして生まれた(2015/1/29)
- 買い物客の購買行動を操作するとは?米国 乾電池売り場の劇的改善(2015/1/15)
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