コラム

新しい売上を作る「売り方のイノベーション」~買物客の購買行動を、売り場で操作する~

米国成功事例① スーパーで売れた「スターバックスコーヒー」とは?カテゴリーも活性化させた売り方のイノベーション

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小売業での存在感に投資をする意味

スターバックスにとってスーパーでの小売りは今に始まったことではありません。米国では90年の半ばから、小売り向けの展開を行っており、90年代後半には競合の成功を受けてパック詰めコーヒーの販路を強化しています。

スターバックスが他のカフェチェーンよりも急速に支持を集めたのは、店舗を、ただコーヒーを売る場所ではなく、そこで過ごす時間を含めた「特別な体験」を提供する場所と捉えていたからです。座り心地の良い椅子やWiFiの提供も、非効率な投資に見えますが、お客様(ショッパー)を繰り返し来店させ、店やブランドに特別な愛着を持たせる戦略の1つです。こうして店舗展開を成功させてきたスターバックスは、築き上げたブランドの資産を小売業で最大限利用できれば、もっと多くの人に特別な体験を提供できるはずだと長い間考えていました。

しかし、IBISWorldの 2012年8月の米国のコーヒー生産に関するレポートによれば、コーヒー消費の大部分は依然として家庭内で行われていたので、スターバックスのマーケットシェアは12.8%と、JMスマッカー(24%)やクラフトフーズ(18.3%)からは大きく差をつけられていました。
小売業との協働マーケティングにおいては、カテゴリーのリーダー企業やブランドに声がかかるのが基本です。その意味で当時のスターバックスは、リーダーはおろか、カテゴリーを牽引したり、カテゴリーマネージメントを戦略的に提案したりできるような立場ではありませんでした。

しかし2013年にこの新しい定番棚を提案したことによって、スターバックスは小売店での存在感を劇的に高め、今も競合からシェアを取り続けています。一部の小売店では、スターバックスのリワードプログラムも使えるようにすることで、店舗のファンをスーパーに呼び寄せ、ショッパー、小売業、ブランドの3者に利益のあるWIN-WINの関係を築いたのです。

次回も、「ショッパー・ベース・デザイン」を使って純増利益を生み出した、米国の成功事例を紹介します。

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