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ヤングカンヌ審査員が徹底解説 「カンヌで通用するアイデアとは?」

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受賞作はタイトルだけで伝わる

新ルールによる昨年のお題がこちらだ。『世界中の視覚障害者の80%は約2500円の治療費を払えば視覚障害を回避できた人たち。それらを踏まえ、人々に自ら、視覚障害者になることを回避させるとともに、中央政府にそうした人々の存在に気づかせ、持続可能な健康プログラムへの資金提供を行わせること』。

「つまり、人々を動かし、ソーシャルメディアで拡散してもらうことで政府も動かす。C(Consumer/Customer)toG(Government)ということ。Cが動けばGも動くと信じて考えていければ良い。それをコンペ開始30分くらいで決められると早いが、Cアプローチで行くか、Gアプローチで行くか、最後まで悩むようだとつらい。最近、カンヌの傾向として物を売るお題ではなく、社会的課題をコミュニケーションの力で解決するCtoG系の課題が増えているように感じる」(岸さん)

このCtoGという流れを実現し、受賞作に輝いたものが下記になる。

ブロンズ/『BLIND CANDIDATE』
盲目の立候補者を立て、その人の応援サイト自体がキャンペーンになっているという企画。立候補者が演説などを行っている動画はぼやけており顔が見えない。
シルバー/『Sell your cookies』
視覚障害者を助けるために、自分のクッキー(PC上の履歴)を売ろうというアイデア。セレブリティが自らのクッキーをオークションにかけ、それがSNSで拡散しニュースになることなどを想定している。クッキー(履歴)を売るというコアアイデアが強い。
ゴールド/『BLIND SHOPPING』
Amazon、eBayなどオンラインショッピングサービスが広がる中、視覚障害者にとって最もつらいのは買い物(オンラインショッピング)だというインサイトを発見。わざと商品を見にくくすることで、視覚障害者の買い物を体験できるサイトを設計している。同時に、eBayの協力のもと音声だけで商品を売るプラットフォームを構築し、体験できるキャンペーンを行うというアイデアも内包されている。

「受賞作は、いずれもキャンペーンタイトルを見ただけで趣旨が伝わるスピード感がある。逆に、キャンペーンを説明するテキストを読み込まないと意味が分からないものでは受賞は難しい。また、受賞作は多少穴があっても“インサイトの発見”ができており、コアアイデアが強い」(菅野さん)。

昨年の日本代表である石塚さんは、実際に戦った感想を次のように話す。「制作物については、IDEA(インサイトを突けているか)、STRUCTURE(3つのソーシャルメディアは生かされているか)、STORY(パーソナルエクスペリエンスを提供できているか)の3つが備わっていることが大切だと感じました。そして、それらを生み出すにはENOUGH SLEEP(最後の追い込みができるだけの体力)と、GOOD BUDDY(スキルに加え、話が通じやすいパートナー)、HAVING FUN(後で楽しかったねと思えること)が重要」。

次ページ 「ヤングカンヌ攻略に向けた勉強の仕方」に続く