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革新的なブランドはどうすれば生まれるのか― 獺祭×スープストックトーキョー社長対談

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経営者は育てるのではなく自分で育つもの

—ここでブランドの継承についてお話をいただきたく思います。期しくも今年、桜井会長はご子息に社長を譲り、松尾さんは遠山社長が築き上げてきたブランドを継承します。

桜井:新社長は同じことはできないと思います。同じことをやったら私のほうが絶対に上手ですから。違うことをやらなければならない。皆さまは「とらや」をご存知でしょう。創業480年。宮内庁御用達の和菓子屋さんですが、今は羊羹の「とらや」になっています。同じことをやっていたら今のお店はないわけです。同じように酒造も変わらなければいけない。すると私が経験したように色々な問題が起こり、失敗もする。でもそれをどうリカバリーするかは経営者自身が乗り越えないといけない。私は、経営者は育てることはできないと思います。育つものです。教育してできるようになるなんて絶対にありません。

松尾:そうですね、同感です。

桜井:ただし経営経験者は、経営者をフォローすることくらいはできます。私が66歳で、息子が40歳。「お前たちのやっていることは方向が間違っている!」と尻を叩くくらいは まだできる。でも彼は彼のやり方でやるでしょう。失敗もあると思いますけれど、そうしたら変革していけば良いし、そうやってブランドが出来上がる。ブランドは、逆境、失敗、困ったことをひっくるめて、できるものだと思います。

松尾:たまたまですが、私も40歳になりまして、激励をいただいたような気持ちです。スープストックトーキョーというブランドは、センスからストーリー、考え方からロゴデザインまで遠山が構築したものです。すごくいいものをつくってくれたと、勝手に好きになって共感して、自分のブランドだと思ってやってきたのですが、社長になってしばし考えました。何をしたら良いのかと。

そして思いました、遠山でも松尾でもなく、当社は「スープストックトーキョーさん」という人格を持ったキャラクターなのだと。そして社員と一緒に「スープストックトーキョーさん」のことを徹底的に掘り下げました。結局たどり着いたのが、理念でした。「世の中の体温を上げる」。そのために僕らは仕事をしているので、アルバイトも社員も社長も関係ない。アイデアも企画も施策も「スープストックトーキョーさん」らしければどんどん進めよう。そのように活性化できるリーダーでありたいと思っています。

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