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コラム

アンバサダー視点のススメ

20世紀の成功体験から、21世紀のマーケティングは生まれづらい

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【前回の記事】「広告・マーケティング業界で使われている言葉が「戦争用語」だと知っていましたか?」はこちら

今ほど顧客視点を重視する必要性が叫ばれる時代はないでしょう。ただし企業がお客さまのために尽くすには、様々な問題があるようです。では、一体どうしたらいいのでしょうか。その手引きとして、『顧客視点の企業戦略 -アンバサダープログラム的思考-』を宣伝会議から3月1日に出版しました。今回も出版を記念した特別連載です。

顧客視点を実践する難しさ

お客さまの立場に立った取り組みで問題になるのが、企業はどこまで顧客視点になれるのか、という点です。

例えば、お客さまのために徹底的な値下げをした場合、企業の利益はどこで得るのかという問題が生まれます。またお客さまへのサービスやメリットを優先して、自社に不都合な状況を作ったり、利益を極端に削ったりすることも普通はできません。

お客さまの希望を全て受け入れることも現実的には不可能です。全ての声を反映させることは無理なので、中途半端に受け入れるくらいなら止めてしまおうというのはよく聞く話です。

企業が自らの立場を保ちながら、顧客視点の取り組みを行うのは意外と難しいのです。だからこそ、数々のハードルを乗り越えて、成功している企業からは多くのことが学べるのでしょう。

商品開発でも、顧客が本当に欲しいと思っているものかどうか、十分に気をつける必要があります。その一例として、ボタンが数10個もついたTVのリモコンが挙げられます。開発者は多機能性を追求したのかも知れませんが、滅多に使わないボタンがたくさんあるよりも、数を絞って使いやすくした方が顧客にとっては使いやすいはずです。

ひと昔前の、携帯電話の「薄さ」競争も事例に挙げられるでしょう。当時、各社は競って、0.1ミリ刻みの「世界最薄競争」を展開しました。この薄さという着目点は、最初は便利さの追求だったと考えられますが、もっと根本的に使いやすい「スマートフォン」の登場であっという間に終わってしまいました。

技術の進化は、顧客のニーズを超えた高性能な商品を生み出します。いわゆるオーバースペックです。しかし顧客は本当にそれを望んでいるのか、よく見極める必要があります。人は実は一番シンプルなものを求めているかも知れないのです。

次ページ 「顧客視点の取組みを企業が活用するには」へ続く